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れいむは激怒した。必ず、かの邪智暴虐のお兄さんを除かなければならぬと決意した。 れいむには政治がわからぬ。れいむは、野生のゆっくりである。 蝶を追い、友達と遊んで暮して来た。けれどもゆっくりできない事に対しては、饅頭一倍に敏感であった。 今日未明れいむは自分の巣穴を出発し、野を越え山越え、半里はなれた人工のゆっくりプレイスにやって来た。 れいむには父も、母も無い。女房も無い。生後十六週の、内気な妹と二匹暮しだ。 この妹は、群れの或る律気な一ゆっくりを、近々、花婿として迎える事になっていた。 愛の行為も間近かなのである。れいむは、それゆえ、花嫁の飾りやら祝宴の御馳走やらを探して、はるばる遠くにやって来たのだ。 先ず、その品々を拾い集め、それから野原をぶらぶら歩いた。れいむには竹馬の友があった。 ゆっくりまりさである。今は此のゆっくりプレイスで、ゆっくりしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。 久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。歩いているうちにれいむは、野原の様子を怪しく思った。 ひっそりしている。もうじきに日も落ちる、外に居るゆっくりが少ないのは当り前だが、 けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、原全体が、やけに寂しい。のんきなれいむも、だんだん不安になって来た。 路で逢った若いりぐるをつかまえて、何かあったのか、二月前に此のプレイスに来たときは、 夜でも皆が巣穴で歌をうたって、外でも賑やかであった筈だが、と質問した。若いりぐるは、首を振って答えなかった。 しばらく歩いて老ちぇんに逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。老ちぇんは答えなかった。 れいむは全身で老ちぇんの体にぶつかって質問を重ねた。老ちぇんは、あたりをはばかる低声(CV 大塚明夫)で、わずか答えた。 「おにいさんが、みんなをころすんだよー」 「ゆゆ!どうしてそんなことするの!?」 「ゆっくりできないこだっていうんだけど、だれもそんなことはないよー」 「たくさんのゆっくりをころしたの!?」 「うん、はじめはみんなのりーだーのいもうとのおむこさんを。それから、りーだーのこどもを。 それから、りーだーのいもうとを。 それから、りーだーのいもうとのこどもを。それから、りーだーのおよめさんを。それから、かしこいぱちゅりーを」 「どうしたの!?ここのおにいさんはゆっくりできなくなっちゃったの!?」 「ちがうよー。ゆっくりを、しんじられないんだよー。このごろは、てしたのこともうたがってて、 すこしでもぜいたくなゆっくりには、ひとじちをひとりずつださせてるよー。 いうことをきかないと、はりつけにされてゆっくりできなくなるよー。きょうは、ろくにんころされたよー」 聞いて、れいむは激怒した。 「ゆっくりできないおにいさんだね!ゆっくりころすよ!!」 れいむは、単純なゆっくりであった。拾い物を、咥えたままで、のそのそ管理小屋に入って行った。 たちまちれいむは、警備のゆっくりに捕縛された。調べられて、れいむの懐中からは針が出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。 れいむは、お兄さんの前に引き出された。 「この針で何をするつもりだったか、言え!」 暴君鬼井 産(22歳・男性)は静かに、けれども威厳を以って問いつめた。 そのお兄さんの顔は蒼白で、眉間の皺は、刻み込まれたように深かった。 「みんなをわるいおにいさんからたすけるんだよ!!」 とれいむは悪びれずに答えた。 「はぁ?お前がか?」リーダーは、憫笑した。 「どうしようもない奴だな。お前には、俺の苦しみが分からないんだ」 「なにをいってるの!!」 とれいむは、いきり立って反駁した。 「ひとをうたがうのは、やっちゃだめなんだよ!おにいさんは、みんなのゆっくりだましいもうたがってるよ!!」 「疑うのが正当な心構えだと、俺に教えたのはお前達だ! ゆっくりの言う事なんて当てにならない。ゆっくりは元々利己的で、卑しく貪欲で、救いようの無いゴミクズなんだよ!」 暴君は落着いて呟き、ほっと溜息をついた。 「俺だって、穏やかに過ごしたいんだけどな」 「なんのために?じぶんがゆっくりするため?」 今度はれいむが嘲笑した。 「なにもわるいことをしてないゆっくりをころして、だれとなかよくするの!?」 「黙れ、ド饅頭」 お兄さんは、さっと顔を挙げて報いた。 「口先だけなら何とでも言える。お前だって、今に磔になってから命乞いしても聞かんぞ」 「はりつけだってさ、おおこわいこわい。れいむは、しぬかくごだってあるんだよ!あやまったりなんてしないよ!ただ、――」 と言いかけて、れいむは足もとに視線を落し瞬時ためらい、 「ただ、れいむのはなしをきいてくれるなら、しけいまでに3にちちょうだいね!! たったひとりのいもうとに、けっこんさせてあげるんだよ! 3にちのうちに、れいむはおうちでいもうとをけっこんさせて、またもどってくるよ!!」 「馬鹿な」 と暴君は、鼻で笑った。 「とんでもない嘘吐きだなお前は。ゆっくりブレインで三日も覚えてられる訳ないだろうが」 「ちゃんとおぼえるよ!そしてかえってくるよ!!」 れいむは必死で言い張った。 「れいむはやくそくをまもるよ!だから3にちだけゆるしてね!!いもうとがれいむをまってるんだよ!! そんなにれいむをしんじられないなら、このゆっくりぷれいすにゆっくりまりさがいるよ。 れいむのしんゆうなの。あのこを、ひとじちとしてここにおいていくよ! れいむがにげて、よていまでにここにかえってこなかったら、あのまりさをゆっくりしめころしてね!!」 それを聞いてお兄さんは、残虐な気持で、そっと北叟笑(ほくそえ)んだ。 生意気な事を言う。どうせ帰って来ないに決まっている。このド饅頭に騙された振りして、放してやるのも面白い。 そうして身代りのゆっくりを、三日目に殺してやるのも気味がいい。 ゆっくりは、これだから信じられないと、俺は悲しい顔して、その身代りのゆっくりを殺してやるのだ。 世の中の、自称ゆっくりできる子とかいうゆっくり共にうんと見せつけてやりたいものさ。 「願いを、聞いた。その身代りを呼んで来い。三日目には日没までに帰って来い。 遅れたら、その身代りを、きっと殺すぞ。ちょっと遅れて来るといい。お前の罪は、永遠に許してやろう」 「なに!?なにをいうの!!?」 「はは。自分の命が大事だったら、遅れて来い。お前達の習性は、分かっているぞ」 れいむは口惜しく、地団駄踏んだ。ものも言いたくなくなった。 竹馬の友、ゆっくりまりさは、深夜、管理小屋に召された。お兄さんの面前で、佳き友と佳き友は、二月ぶりで相逢うた。 れいむは、友に一切の事情を語った。ゆっくりまりさは無言で首肯き、れいむに体を擦り付けた。 友と友の間は、それでよかった。ゆっくりまりさは、縄打たれた。れいむは、すぐに出発した。初夏、満天の星である。 れいむはその夜、一睡もせず半里の路を急ぎに急いで、巣穴へ到着したのは、翌る日の午前、 陽は既に高く昇って、群れのゆっくり達は野に出て餌を取り始めていた。 れいむの十六週の妹も、今日は姉の代りに赤ん坊の面倒を見ていた。 よろめいて歩いて来る姉の、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。そうして、うるさく姉に質問を浴びせた。 「なんでもないよ!!」れいむは無理に笑おうと努めた。 「あっちにまだようじがあるからまたいかないと!あしたれいむのけっこんしきをしようね!!」 妹は頬をあからめた。 「うれしいんだね!きれいなおはなもひろってきたよ!それじゃあこれからみんなにゆっくりしらせてきてね!!」 れいむは、また、よろよろと歩き出し、広場に花をばら撒いて飾り、備蓄の食糧を運び出し、 間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。 眼が覚めたのは夜だった。れいむは起きてすぐ、花婿の家を訪れた。 そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と頼んだ。 婿のゆっくりまりさは驚き、それはいけない、こちらには未だ何の仕度も出来ていない、 葡萄の季節までゆっくり待ってくれ、と答えた。れいむは、待つことは出来ない、どうか明日にしてくれ、 と更に押してたのんだ。婿のまりさも頑強であった。なかなか承諾してくれない。 夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか婿をなだめ、すかして、説き伏せた。結婚式は、真昼に行われた。 新郎新婦の、誓いの愛の行為が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。 祝宴に列席していたゆっくりたちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持を引きたて、 狭い巣穴の中で、むんむん蒸し暑いのも怺え、陽気に歌をうたい、飛び跳ねた。 れいむも、満面に喜色を湛え、しばらくは、お兄さんとのあの約束をさえ忘れていた。 祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、ゆっくり達は、外の豪雨を全く気にしなくなった。 れいむは、一生このままここにいたい、と思った。この佳い仲間たちと生涯暮して行きたいと願ったが、 いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。ままならぬ事である。れいむは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。 あすの日没までには、まだ十分の時が在る。ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。 その頃には、雨も小降りになっていよう。少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかった。 れいむほどのゆっくりにも、やはり未練の情というものは在る。今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、 「おめでとう!れいむはつかれたからもうねるよ!!おきたらまたでかけるね!! れいむがいなくても、もうれいむにはまりさがいるからさびしくないよね!! おねえさんのいちばんきらいなものは、ひとをうたがうこととうそをつくことだよ!! れいむも、それはしってるよね!!まりさにひみつをもっちゃだめだよ!! れいむのおねえさんは、えらくてかわいいゆっくりなんだからゆっくりむねをはってね!!」 花嫁は、夢見心地で首肯いた。れいむは、それから花婿の傍に寄り、 「したくしてないのはれいむもだよ!!れいむには、いもうとれいむくらいしかいないもん!! ほかにはなにもないから、ぜんぶあげるよ!!れいむのいもうととけっこんできたことをゆっくりじまんしてね!!」 花婿は紅潮して、てれていた。れいむは笑ってゆっくり達に会釈して、 宴席から立ち去り、自分の寝床にもぐり込んで、死んだように深く眠った。 眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃である。れいむは飛び起き、そして、何故慌てて飛び起きたのか考え込んだ。 考えたが、一向に思い出せぬので、大した事では無かろうと結論付け、いつもの様に朝食を食べに広場に向かった。 そうしてれいむが普段通りの生活に戻った日の夕刻、泣きながらもれいむを待ち続けたまりさは処刑された。 お兄さんは、れいむは必ず来ると言い張るまりさに、笑って釘を打ち、磔にして掲げ、ゆっくり達の目の前で火を放ったのだ。 「どお゛ぢでごん゛な゛ごどに゛い゛い゛い゛い゛!!!あ゛づい゛!!あ゛づい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 「それ見た事か。所詮ゆっくり同士の友情など、ゆっくりと交わす約束などこんなものだ」 お兄さんは焼け焦げ、悶え苦しみ悲鳴をあげるまりさを、息絶えるまで心底嬉しそうな表情で眺め続けた。 "BEST FRIEND" is DEAD... 作:ミコスリ=ハン このSSに感想を付ける
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『幸福れいむ』 29KB いじめ 共食い 虐待人間 ぬるいです。れいむに幸せを与える話。 こちらに投稿するのは初めてとなります。 ぬるい虐待ですが、よろしければごゆるりと。 ある休日の晴れた昼下がり。 私は暇を持て余した末、今日という貴重な一日を、ゆっくりを虐待することで潰そうと決めた。 『幸福れいむ』 れいむはとてもゆっくりとした夢を見ていた。 広大な草原が広がる野原で、愛しのまりさと子供を作り、その子供たちが巣立つのを見送る、とても幸せな夢だ。 それがふと、一瞬で暗転した。 「……ゆっ?」 目の前に何か奇妙な人間がいた。四角い紙の袋を頭に被り、目にあたる場所に穴が開いている、そんな姿の男だ。 「ゆゆっ!?」 「デデデデストローイ ナーイン ボー」 そしてその紙袋から、くぐもった声で何かをれいむに呼びかける。れいむには言葉の意味はわからなかった。 「に、にんげん……さん……?」 ゆっくりよりも頭の大きさは小さい人間(ゆっくりには頭しか無いが)だが、この目の前の人間は、紙袋のせいで頭の大きさがよくわからない。 基本的に頭の大きさで優劣を決めるゆっくりは、頭の大きさ=身体の大きさと考えており、身体が大きい方が強いものだと考えている。だからゆっくりは人間を格下に見るのだが、紙袋の大きさはれいむの体長よりも大きい。 「やあれいむ、おはよう。ご機嫌いかがかな? ゆっくりしていってね」 男の手には注射針が見える。れいむにはそれが注射針であるという概念はわからないが、その尖った先端だけで、これはゆっくりできないものだ、と思った。 「ゆ、ゆっくりしていってね! おじさん、ここはどこなの?」 「おじさんじゃあない、私はただの鬼威山だ」 『おにいさん』と名乗る男だが、れいむにはそのイントネーションに不吉なものを感じる。 ──このにんげんさんは、ゆっくりしてない。 そう思いながら、この人間から離れようとするれいむだが、そこで自身の異変に気付いた。 「ゆっ……? ゆゆっ……!? あ、あんよさん……?」 ゆっくりは底面を動かすことで移動する。跳ねるにしても、這いずるにしても、底面を動かせなければ、どこにも移動できない。 そのことに気付いて、何度か動かそうとして、結局動かず、ようやくれいむは思い知った。 「どぼじであんよさんうごかないのおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!?」 「どうして、か。疑問を持つことは素晴らしいことだ。知恵がある生物ならではの行動だからな。獣は疑問を持つことで危機を脱するのだから」 紙袋の男は一人で何事かを呟くが、あんよを微塵も動かせず泣き喚くれいむには聞こえていない。 「まぁ、疑問には答えてやることにしよう。今日の私のルールだ。『疑問には正直に答えること』、ってね」 ぎもんにこたえる、という言葉にれいむははっとして、 「ど、どういうこと!? にんげんさん、ゆっくりしないでこたえてね!」 うむ、と人間は頷き、もったいぶった仕草をしながら、 「──君のあんよにラムネを注射しただけさ。局所麻酔ってやつでね。最近知ったんだが、ゆっくりにとってラムネは麻酔になるらしいね」 「ゆっ……? どうゆうこと……?」 「まぁようするに、私が君のあんよを動けなくした。この注射で、だ」 男が針をれいむに近づけると、れいむは慌てて叫んだ。 「ゆっ! ゆっくりしてないよ! はりさんこないでね! ゆっくりしてね!」 針から逃れようと必死で底面を動かそうとするれいむだが、底面はまるでれいむから切り離されているかのように反応しない。 「はは、冗談だよ。この注射は君にはもう使わないさ。約束しよう」 そう笑いながら注射針を透明な箱の中に仕舞うと、今度は別の茶色い箱の中から、いくつかの飴玉を取り出した。 「ゆっ! それ、あまあま?」 「ああそうだ。舐めてみるといい」 男はれいむの目の前に飴玉を一つ置く。れいむはそれを下で拾い、口の中に放り込んだ。 途端に、口の中に甘酸っぱい味が広がった。 「し、しあわせぇぇぇ~!」 こんな甘いものを食べるのは初めてだった。味覚が全餡子を貫き、天にも昇るような感覚すらおぼえる。強張っていた表情も崩れ、満面のゆっくり顔だ。 「幾つか置いていこう。今舐めてる飴玉が無くなったら食べるといい」 男はさらに飴玉を幾つかれいむの目の前に転がす。どれもれいむが舌を伸ばせば簡単に届くような距離だ。 ああ、とれいむは至高の感動とゆっくりに打ち震える中枢餡で思う。 このにんげんさんはれいむにこんなにゆっくりしてるあまあまさんをくれた。 れいむがなにもいってないのにあまあまさんをくれるこのにんげんさんはゆっくりしてるにんげんさんだ。 そして、れいむがなにもいってないのにあまあまさんをくれるのは、きっとれいむがさいこうにゆっくりしてるからだ! そんなことを思いながら飴玉をなめていると、男が茶色い箱の中から、大きな砂時計を取り出した。 「よく見ておくんだ。この砂は三十分で全て下に落ちる。その頃にはれいむのあんよも動かせるようになっているよ」 「ゆっ! わかったよ! れいむ、ゆっくりするよ! それとれいむ、のどがかわいたよ! おみずさんちょうだいね!」 「ああ、水は用意できない、すまないね」 「ゆぅ……ゆっくりしてないにんげんさんだね」 はは、と男は笑いながら、注射針を入れた透明な箱と、茶色い箱を持って立ち上がる。砂時計は壁際に移動させて、そこは底面を動かせないれいむの位置からでもよく見えた。 「ああ、そうそう。『私は今から、こちらかられいむに一切危害を与えない』よ。あんよが動かせるようになったら好きにしていい。そこからは見えないだろうけど、君の後ろにはたくさんの甘いものがあるからね」 「ゆゆっ! ほんとうっ!?」 「ああ、本当だ。あ、これ片づけたらもう一度来るよ。飲み物を持ってこよう」 箱をれいむに示して、男は部屋から出ていく。 突然のことが多すぎてゆっくり出来なかったれいむの心も多少落ち着き、二個目の飴玉を舌で拾いながら、れいむは自分がいるであろう部屋を見渡した。 部屋は六畳程度で、れいむからすれば、れいむのおうちよりすっごくひろいね、という広さだ。 れいむはこの部屋のほぼ中央にいる。底面が動かせないので部屋の後ろを見ることは出来ない。……あまあまのおかげでゆっくりしているので、あまり気にしなかったが。 れいむの真正面には扉があり、男はそこから出入りしていた。扉の傍に砂時計が置かれており、あの砂が全て下に落ちた時、れいむのあんよは動くようになるという。 それにしても広い部屋だ。ふと、れいむは考えた。 こんなにひろければゆっくりできる。 ごはんもあまあまもきっとあのにんげんさんがよういしてくれる。 ここはきっとゆっくりぷれいすだ! 「ゆゆっ! きめたよ! ここをれいむのおうちにするよ!」 そして息を吸い込んで、 「ここはれいむのおうちだよ! ゆっくりしていってね!」 おうち宣言。ゆっくり特有の行動で、自分の巣を定める行為だ。 たとえそこが別のゆっくりの巣だろうと、人間の家だろうと、自らが巣だと決めた場所なのだから誰も文句は言えない、ゆっくりはそう思っているのだ。 このあんよが動かせるようになったら、真っ先に愛しのまりさをここに連れて来よう。れいむはこんな広いおうちでまりさと暮らす未来を夢見ながら、すごくゆっくりしていた。 れいむがゆっくりとしながら飴玉を舐めていると、紙袋を被った男が入ってきた。 「ゆっ! おにいさん! ここはれいむのおうちだよ!」 「ん? ああ、おうち宣言か。ならお邪魔するよ」 「おにいさん! かってにはいったらだめなんだよ! かってにはいったらてみやげをもってきてね!」 「手土産って……まぁいいか。ほら、オレンジジュースだ。水の代わりに持ってきたよ」 「ゆっ! ゆっくりちょうだいね!」 そういいながら、れいむの前に皿を置き、そこにオレンジジュースを注いでいく。 その際、男は床に転がしておいた飴玉を回収するが、れいむは気付かない。 「ぺーろぺーろ……しあわせ~」 甘酸っぱいオレンジジュースは、ゆっくりにとっては至高の飲み物だ。元々オレンジジュースはゆっくりにとっては治療薬になる。怪我をしたゆっくりや体力の無いゆっくりの応急手当によく使用されるのだ。 「そうだれいむ、飴玉よりもっと甘いものがあるんだが、いらないか?」 「ゆっ!? さっきよりももっとあまあまさん!? ほしいよ! ゆっくりしないでちょうだいね!」 「いいだろう、ちょっと待っていてくれ」 男はれいむの横を通って、れいむの背後に何か箱のようなものを置いた。何なのかはれいむからは見えない。 そしてれいむの横に細いチューブのようなものを伸ばし、それをれいむの口にくわえさせる。 「吸ってみるといい」 言われたとおりに吸い込んでみると、チューブの先から何か物凄く甘いものが飛び出してきた。 「!!!」 特上の甘味が舌を焼き尽くし、全餡子を震わせる。先ほどまで堪能していた飴玉の味すら一瞬でどこかに行ってしまう衝撃に、 「し、し、し、し、しあわせえええぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!」 れいむは至上の幸福を、その舌で味わった。 「う、うっめ! めっちゃうっめ!」 思わずチューブを思いっきり吸い込み、さらなる甘味を味わう。全身に雷が走るような快楽に、れいむはこれ以上なくゆっくりとした気分になれた。 何よりも素晴らしいのは、吸うたびに至高の甘味が、その甘さをさらに強くしていくことだ。今まで味わってきた甘味ランキングが現在進行形で更新されていく。 「しあわせぇ~……けぷっ」 腹一杯になるまで甘味を堪能したれいむに、男は満足げに頷いた。 「どうだいれいむ、甘かっただろう?」 「さいこーにしあわせだよぉ~……とてもゆっくりしたあまあまだねっ!」 「それはよかった。もしよかったら、そのあまあまがなんなのか見せてあげようか?」 「ゆっ! みせてみせて!」 男は頷くと、れいむの後ろに置いていた箱を、少しずつれいむの横へずらしていく。 どんなあまあまさんなんだろ? 無邪気に考えるれいむは、少しずつ見えてくる箱を横目で見て、 凍った。 「…………ゆ?」 それは、その透明な箱の中にいるのは、 「……あ、あ……?」 バレーボールくらいの大きさの痩せ細った饅頭のような物体に、だらしなく開いた口がついていて、その饅頭の上からは金色の髪に似たものが波を描き、横で三つ編みを作っている。口と髪の中間には目が二つ並んでついていて、その視線は、れいむを化物を蔑むように、涙を流しながら見つめている。 金色の髪の上には、れいむが好きな、今度告白しようと思っていた、近所のまりさとまったく同じ黒い三角帽子が乗っていた。 その頬にはチューブが刺さっていて、そのチューブが伸びた先は、れいむの口元のチューブに繋がっていて、 「……どぼじでええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!?」 それは、れいむが好きだったまりさだった。 「ではご対面だ」 男がチューブを外し、透明な箱からまりさを出して、れいむの真正面に置いた。 「ばりざっ! ばりざぁぁぁぁ! ごべんねっ! ごべんねえええぇぇぇぇぇ! ばりざだっでじらながっだのおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 涙を流して、ろれつの回らない舌でひたすら謝るれいむに、まりさはぼそりと、振り絞るように呟く。 「……まりさの、なかみを、すいとる、れいむは、ゆっくり、しないで、しね」 「あ……!」 愛しいまりさからの憎悪の言葉に、何も言葉が出せなくなる。まりさの眼は殺意に満ちていて、痩せ細っていなければ今すぐにでもれいむを殺そうとするだろう。 口をパクパクと開いたり閉じたりするれいむに、男が語りかける。 「先ほどのどうして、という疑問に答えよう。『どうしてまりさがここにいるのか?』簡単だ、私がそこに入れた。お菓子をあげると言ったら簡単に入ってくれたよ。『どうしてこんなことをするのか?』これも簡単だ、私の趣味だ。私は単に痛めつけるより、こう、いたぶる? みたいなのが好きでね」 言葉が出ない。この男への怒りよりも、愛しのまりさの中身を吸っていたという事実が、れいむの声を奪っていた。 現実逃避をしたくても、まりさの憎悪の言葉が、れいむの淡い妄想を破り捨てる。 「しね……っ、れいむは……、ゆっくり、しないで、しねっ……!」 「あ……ああ……!」 狂ってしまいそうなれいむに、男が声をかけた。手には注射器を持っている。やたら針が太く、注射器の中は透明な液体で満たされていた。 「提案がある。この注射器の中には、まりさをあっという間に元気にさせて、しかもれいむを死ぬまで愛するようになるものが入っている」 「ゆ……!? ほ、ほんとう……?」 「ああ、私は嘘はつかない。さて、どうする? これをまりさに注入しようか?」 「ゆ……」 この男は、れいむに嘘は吐かなかった。きっと本当のことなのだろう。ちらり、とまりさを見ると、 「ゆっくりごろし……! しね……!」 今にも永遠にゆっくりしてしまいそうな痩せ細った体で、れいむに憎悪と殺意を飛ばしていた。 まりさは、全然ゆっくりしていない。 「このまま、まりさをゆっくりさせないまま、死なせたいか?」 そんな男の言葉に、れいむは反射的に叫んだ。そもそもこの男が原因だということも忘れて、叫んだ。 「おねがいじまずううぅぅぅぅぅぅぅ! ばりざをっ! ばりざをゆっぐりざぜでええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 ぶすりと、注射針がまりさの後頭部に刺さった。 「ゆびっっ!?」 じゅうと、注射器の中身がまりさの中へ入っていく。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 「ばりざぁぁ……」 目の前で痙攣するまりさを心配そうに見つめるれいむ。 男が注射針を抜くと、まりさの動きが不意に変化した。 「ゆぅぅぅぅ……ゆひぃぃぃぃぃ……」 呼吸が細く、掠れた笛のような声がもれる。目の焦点は定まらず、口からは砂糖水が垂れていた。 「ま、まりさ……?」 れいむが恐る恐るまりさの顔を窺おうとすると、突然まりさの目が見開かれた。 「ゆっぴぃぃぃぃぃぃぃぃっ!! ……ゆ?」 不意に、まりさの表情が元に戻っていた。ゆっくり特有のおとぼけ顔は相変わらず痩せていたが、れいむを不思議そうに眺めており、先ほどの憎悪や殺意はどこかへ行ってしまったかのようだ。 「ま、まりさ……?」 「れいむ、ゆっくりしていってね!」 満面の笑顔で挨拶するまりさに、れいむは知らずうちに涙を流していた。 「まりざぁっ! よがっだぁっ! ゆっくりしていってねぇっ!」 「れいむはなきむしだねっ! ゆっくりしていってね!」 泣きじゃくるれいむをあやすように頬を重ね合わせるまりさ。 「すーりすーり」 「ゆゆっ、まりさぁ……すーりすーり」 「「しあわせ~」」 あっという間に泣き止み、頬をすり合わせるれいむとまりさを、男は満足そうに頷きながら眺めていた。 「すーりすーり」 「すーりすーり」 「す、すーりすーり」 「すーりすーり」 「ま、まりさ……?」 「すーりすーり」 何故かまりさは、いつまでたっても頬ずりを止めない。そのことにれいむは、ふとまりさの顔を窺う。 満面の笑みのままのまりさの表情は、何か、奇妙な既視感があった。 「ま、まりさ、これいじょうはだめだよ、あかちゃんできちゃうよ……」 「すーりすーり」 「にんげんさんがみてるんだよ? れいむ、はずかしいよ……」 「すーりすーり」 「……まり、さ?」 れいむは、その既視感を、思い出しかけていた。 何か恐ろしいもののような、思い出したくもない顔。満面の笑顔のはずなのに、頬ずりでゆっくり出来てるはずなのに、れいむの芯の底が冷えていく。 そして不意に、まりさの動きが変わった。 「すりすりすりすりすりすりすりすり」 「ま、まりさ!?」 明らかに、コミュニケーションとしての頬ずりとは違う。感情を押し付けるようなそれは、れいむのトラウマの一つ、 「……ありす!?」 いつの間にか、満面の笑顔だったはずのまりさの顔は崩れ、口元はだらしなく歪んで砂糖水を垂れ流し、眼球はむき出しでれいむを見下ろす。 れいむはかつて、れいぱーと化したありすが、他のれいむを襲っている光景を見たことがある。その時は運よく逃れられたが、今のまりさの表情は、あの時甘い笑顔で他のれいむを誘い出し、おぞましい表情で襲っていたあのれいぱーありすそのものにしか見えなかった。 「どぼじでええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!? やべでぇぇぇぇぇぇ! ばりざ、やべでえええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「すりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすりすり、んほおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!! すっきりいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」 「ずっぎりい゛い゛い゛い゛い゛い゛ぃぃぃぃ!!」 それまでゆっくりしていたれいむの餡子は、まりさの豹変で一瞬にして絶頂まで上げられた。 次の瞬間、れいむの頭から茎が生える。枝分かれした茎の先には合計六つの小さな球体が付く。れいむとまりさの子供だ。 何が起こったのか理解できないれいむに、男が優しく語りかける。 「疑問に答えよう。先ほどまりさに注入したのは、いわゆる精力剤というやつだ。時間差はあるがゆっくりを発情させ、感情を整え、目の前にいるゆっくりと交尾をしたくなる。まぁようするに、即席れいぱー作成薬というわけだ。……ただ、副作用があってね」 呆然と男を見るれいむに、男はまりさの方を示した。 「すっきりーをすると、ゆっくりしてしまうんだ。永遠にね」 「……え?」 まりさを見る。先ほどまでのおぞましい表情は消え、そこには眠るように穏やかな表情のまりさしかいなかった。 永遠に眠るような。 「ご覧のとおり、まりさはれいむを愛したまま、ゆっくりと死んだ。よかったね」 「あ……ああ……?」 れいむはもはや何も考えられない。ただぐるぐると、今までのことが巡っていた。 さいしょは、あんよさんがうごかなかった。 でも、にんげんさんはあまあまさんをくれた。 でも、あまあまさんはまりさだった。 まりさはれいむのことをゆっくりしないでしねっていった。 でも、まりさはにんげんさんのおかげでれいむのことをあいしてくれるようになった。 でも、まりさはれいぱーありすとおなじになってた。 れいむにあかちゃんができた。 でも、おとうさんになるはずのまりさはえいえんにゆっくりした。 どうして? どうして? どうして? いくら考えても、足りない餡子では答えが浮かばない。 「れいむ。君はゆっくりしなくていいのか? 君とまりさの子供が実っているだろう?」 男に言われ、れいむははっとした。 そうだ。れいむにはおちびちゃんがいるんだ。 そうだ。これかられいむが、まりさのぶんまでゆっくりすればいいんだ。 そうだ。これかられいむが、まりさのぶんまでおちびちゃんをゆっくりさせればいいんだ! 「ゆっ! ゆっぐりじでいっでね! ばりざぁっ! ばりざのぶんまでっ! ゆっくりするがらねぇっ!」 嗚咽混じりでそう誓い、茎に実った子供たちを見上げると、れいむはおかしなことに気付いた。 実った赤ゆっくりの成長が、やたら早い。 「……ゆ?」 不思議に思ったが、れいむはこう結論付けた。 「せっかちなおちびちゃんだね! すぐにうまれて、いっしょにゆっくりしようね!」 素晴らしきかな餡子脳。実は男がまりさに注入した精力剤には、成長促進剤も入っていたのだが。 早送りのように少しずつ大きくなっていく赤ゆっくりを見上げながら感動の涙を流すれいむの横で、男はまりさを茶色い箱の中に仕舞っていた。 あっという間に大きくなる実に、れいむの餡子が吸い取られるが、先ほどれいむはまりさの餡子を吸っていたので問題は無いようだ。 砂時計の砂が半分ほど落ちた頃、すっかり赤ゆっくりは大きくなり、もう生まれてもおかしくなくなっていた。六つの赤ゆっくりは、全てれいむ種だった。 本当はこんな速さで成長するわけがないのだが、しあわせに浸るれいむはそのことに気付いていない。 やがて、実たちがプルプルと震え始める。 「ゆゆっ! もうすぐうまれるよぉっ!」 「よかったな、れいむ。きっとまりさも祝福してくれているだろう」 れいむは嬉しさのあまり、元凶が目の前の男だということをすっかり忘れていた。 震えた赤い実が、やがて一つ、また一つと茎から離れ、落ちていく。 床に落ちた衝撃でうっすらと目を開く赤ゆっくりは、この世に生を受けた証を叫んだ。 「ゆっくちしちぇいっちぇね!」 六匹が同時に声を上げ、れいむは感激の涙を流しながら、その証に答えを返した。 「ゆっくりしていってね!! おちびちゃん、れいむがおかあさんだよっ!」 「おかーしゃん?」 「おかーしゃん、ゆっくちしちぇいっちぇね!」 「みゃみゃー」 「おにゃかしゅいたよぅ」 「ゆっくち! ゆっくち!」 「ゅ? おかあしゃんー」 「ゆゆ~ん、すっごくゆっくりしたおちびちゃんだよぉ!」 思い思いに母親に応える赤れいむたちに、れいむはこれ以上ないほどゆっくりしていた。まりさの中身を吸った時にもゆっくりしていたが、もはやそのことは嫌な記憶になっているらしい、すっかり忘れていた。 全て生まれたことを察したのか、れいむの頭から生えた茎は根元から自然に折れ、赤れいむたちの上にぽとりと落ちた。茎はとても軽く、赤れいむの上に落ちても心地よいくらいにしか感じない。 この茎は赤ゆっくりにとって生後初めての食事となる大事な食事だ。ほんのりと甘苦いこの茎は赤ゆっくりの味覚を刺激し、今後食べる食事全ての基準になるのだ。 つまりこの茎よりまずいものはゆっくりできず、この茎よりうまいものはゆっくりできる、そういう思考を作り出すのだ。 「おちびちゃん、おなかがすいたでしょ? そのくきさんはゆっくりできるよ! ゆっくりむーしゃむーしゃしてね!」 「くきしゃん? ゆっくちできりゅ?」 「れいみゅおにゃかしゅいたよ! むーちゃむーちゃ……ゆびえぇぇぇぇん! くきしゃんかちゃくてむーちゃむーちゃできにゃいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 「ゆっ! れいむうっかりしてたよ! ゆっくりまっててね!」 泣き虫らしい赤れいむの言葉にはっとして、舌を伸ばして茎を口に含む。茎は固いので、こうやって噛むことで柔らかくするのだ。 すっかりふにゃふにゃした茎を吐き出すと、待ちくたびれていたのか一斉に赤れいむが群がった。 「むーちゃむーちゃ! ちあわちぇー!」 「むーちゃむーちゃ! ちあわちぇー!」 どのゆっくりも口々に幸福表現を口にする。れいむは子供たちが喜ぶ姿を見ているだけでゆっくりできていた。 ああ、そうだったんだね。これがほんとうのゆっくりだったんだね。 「おかーしゃん、しゅーりしゅーりしちぇね!」 「ゆふふ。みんな、れいむとすーりすーりしてゆっくりしようね!」 食事も終わり、早速子供とスキンシップをとるれいむ。本当に、本当にその顔はとてもゆっくりしている。 だがれいむは忘れている。この男の存在を。 「モォーリカードゥールサァーン」 「ゆっ!?」 男が歌うように呟くと、ゆっくりたちは一斉に男の方へ向く。 「おめでとうれいむ、ゆっくりとした赤ゆっくりたちだね」 「ゆふん、もっとほめていいよ!」 「にんげんしゃん?」 「ゆっきゅりできりゅ?」 「ゆっくちしちぇいっちぇね!」 うむ、と頷くと、男は砂時計を示した。 「この砂はあと五分程度で全て落ちる。そうしたら君たちにとても甘いものをやろう」 「ゆゆっ! ほんとう!?」 「あみゃあみゃ!?」 「ゆっくちできりゅの?」 「おかーしゃん、れいみゅあみゃあみゃたべちゃい!」 ざわめき立つゆっくりたちに、男はただし、と付け加えた。 「彼女たちから逃げ切ったら、の話だがね」 「ゆ?」 ぎぃぃ、と、何かが開く音がした。次いで、何かが羽ばたく音がする。 底面を動かせないれいむには、背後から聞こえるその音の主を見ることは叶わない。 だが、れいむの眼前にいる赤れいむたちの表情が、言葉が、その答えを示していた。 「れ、れみりゃだああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「うー☆」 叫ぶ赤れいむたちの声に混じって、正真正銘のれみりゃの鳴き声が、確かにれいむに聞こえた。 「ど、どおしてれみりゃがいるのぉ!? ここはれいむとおちびちゃんのおうちだよ!?」 「うー☆」「たーべちゃうぞー!」 さらにれいむは戦慄した。れみりゃは一体だけじゃない。 赤れいむたちが一斉に逃げ出し、ある赤れいむは男の足元に隠れ、ある赤れいむはパニックで半狂乱になりながら親であるれいむにすーりすーりし続けた。 「おきゃーしゃぁぁぁん! きょわいよぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 れいむは、はっとして口を大きく開けた。 「お、おちびちゃん! おかーさんのおくちにかくれてね!」 なんとか三匹ほどの赤れいむを口の中へ避難させることは出来たが、他の三匹はれいむからは遠い位置にまでいってしまっていた。 呼び戻そうとするれいむの横を、れみりゃの影が二つ、ふらふらと飛びながら赤れいむの方へ向かう。まだ小さい、子れみりゃだ。 「うー!」「あまあまー」 「れ、れみりゃだぁぁぁぁぁ! きょわいぃぃぃぃぃぃぃ!」 ぽよんぽよんと男の足元で跳ねていた赤れいむに真っ先にとびかかるれみりゃ。 「やめてええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! おちびちゃんにてをださないでえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 口の中に不安げな表情の赤れいむを入れたまま叫ぶが、れみりゃはお構いなしに赤れいむに牙を立てた。 「いぢゃい! やめちぇね! れいみゅおいちくにゃいよ! ……やめちぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 「うー♪」「うー♪」 「おちびちゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」 あんよを動かせないまま、愛しの子供が中身を吸われていく様を見せつけられていく。その捕食者の恐怖に、まだ外にいる他の二匹も、れいむの口の中にいる赤れいむたちも、ただただ震えるばかりだ。 あっという間に中身を吸いつくし、断末魔の叫び声すらあげられずに皮だけしても、れみりゃはまだ物足りないらしく、次に砂時計の傍に隠れていた赤れいむを狙いに定めた。 「お、おちびちゃん! ゆっくりしないでおかーさんのおくちのなかにかくれてね!」 急いで叫ぶが、反応できたのは狙われていない方の赤れいむだけだ。砂時計の傍の赤れいむは、時すでに遅し、れみりゃの牙に噛まれてしまっていた。 「いぢゃいいいぃぃぃぃぃぃ! たしゅけちぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! おきゃぁしゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」 「おちびちゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁん!」 助けを請う赤れいむに、れいむは何も出来ない。なにせあんよが動かないから。 はっとして、れいむは男に叫んでいた。この男なら、きっとおちびちゃんを助けてくれるんじゃないか、そう根拠もなく思ったのだ。 「に、にんげんさん! おちびちゃんをたすけてね! ゆっくりしないでたすけてほしいよ!」 「構わないが……もう遅いと思うぞ?」 見ると、もう赤れいむは中身を吸われつくして、 「もっちょ……ゆっくち……しちゃかっちゃよ……」 そう言い残して、永遠にゆっくりしていた。 「おちびちゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」 「ゆああああぁぁぁぁぁぁぁぁん! おねえしゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁん!」 泣き叫ぶれいむに同調してか、口の中に合流できた残り一匹の赤れいむと他の赤れいむたちも一緒に泣き叫んだ。 「うー、おなかいっぱい」「うー、ねむい」 れみりゃたちは腹が満たされて眠くなったのか、その場で目を閉じてうつらうつらと眠りに入った。 「……ふむ、ちょうど砂も落ち切った、か」 男の言うとおり、砂時計の上の砂は全て下に落ち切っていた。 ふと、れいむは自分のあんよが動かせるようになっていることに気付いた。 その様子を見て、男が語りかける。 「れいむ、子供のことは残念だったな。ところでだが、れいむはこの部屋を自分のおうちにすると言ってたな?」 「ゆ……そうだよ……ここはれいむのおうちだよ……」 すっかり元気が無くなった声で答える。口の中に匿っていた赤れいむたちはれみりゃが眠っていることで外に出してある。 そんなれいむに、男が突き刺すような声で言った。 「……こんなれみりゃがいるおうちで、ゆっくりできるのかい?」 「……ゆっ!?」 「こんなれみりゃだらけのおうちに住むより、前の巣に戻った方がいいんじゃないかな」 「ゆぅ……」 暗い顔で考え込むれいむの顔を見上げる赤れいむたちは泣いたり、不安そうに見上げたり、子れみりゃたちを恐ろしげに見ていたりしている。 ここは広いおうちだが、れみりゃがいるのではゆっくりできないだろう。 昔のおうちに戻ろうか迷っていると、男が今度は優しげな口調で言った。 「後ろに大きな箱があるだろう?」 振り向くと、確かに大きなダンボールの箱が置いてある。その隣には「れみりゃのこーまかん」と書かれた赤い箱がある。 「あの茶色い箱に入れば、昔の巣に戻してあげよう。ああそうだ、約束の甘味はあの箱の中に入っている」 「ゆっ! あみゃあみゃ!?」 真っ先に赤れいむが反応した。 「れいみゅ、あみゃあみゃほちい!」 「にんげんしゃん、れいみゅにあみゃあみゃちょうらいね!」 「やきゅしょくどおりあみゃあみゃよきょせー!」 ぽよんぽよんと飛び跳ねる赤れいむたちに、そうだね、と頷いて、 「れいむ、むかしのおうちにもどるよ……にんげんさん、れいむたちをはこさんのなかにいれてね!」 「ああ、了承した」 男は頷くと、まずれいむを持ち上げて箱の中にいれる。見ると、箱の片隅にお菓子の山が出来ていた。 「ゆゆっ! おしょりゃをとんでるみちゃい!」 次々と赤れいむたちもダンボール箱の中に入れられていく。 「あみゃあみゃ! あみゃあみゃたくしゃんありゅよ!」 「むーちゃむーちゃ……ちっ、ちあわちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 早速つまみ食いを始める赤れいむたちに、男が声をかけた。 「早速食べるのはいいんだが、まずこれを食べるといい。ゆっくりできるよ」 そう言って、れいむたちの目の前にラムネ菓子を落としていく。 ゆっくりできると聞いて早速赤れいむたちがラムネ菓子にかじりつく。れいむの目の前にもラムネ菓子が差し出され、 「そうだね! みんなでゆっくりしようね! むーしゃむーしゃ、しあわせー……ゆぅ?」 不意にれいむは、まぶたが重くなっていることに気付いた。意識が遠くなり、ぼんやりと景色が閉じていく。 閉じかけた視界には、既に寝息をたてている赤れいむたちがいた。 「ゆぅ……みんな……ゆっくりおやすみなさい……」 ◆ …………。 ……………………。 れいむたちが眠ったことを確認して、ダンボールの蓋を閉じる。 睡眠薬代わりに食べさせたラムネ菓子は加工所特製の強力なやつで、ちょっとやそっとの衝撃でも目覚めることは無い上に、副作用がまったく無い優れものだ。 多少乱暴に扱っても、途中で目を覚まされてギャースカ騒がれることもない。 私はゆっくりを虐待する時、紙袋を被る。これは下手にゆっくりから顔を覚えられないようにするために始めたのだが、いつの間にか一種のトレードマークになってしまっていた。 なんにせよ、今回の私のゆっくり虐待は終わった。いや、正確には「やるべきこと」を全て終えて、これから楽しむのだ。 私の飼っている二体のれみりゃを巣、こーまかんにゆっくりと入れる。千差万別のゆっくりだが、この寝顔だけは共通して天使のようだ。 まぁ、その天使の寝顔を歪めるのもまた楽しいのだが。 紙袋を外し、ダンボールを持ち上げ、部屋のドアを開けた。 れいむの巣は近所の雑木林にあった。木の根元にぽっかりと空いた空間を利用しており、この近くには今回有効に使わせてもらったまりさの巣もある。 ダンボールを開け、ゆっくりとれいむたちを巣に押し込み、食料置き場に菓子をたくさん置いてやる。 これでもう私から何かすることは無いので、帰ることにしよう。 私のやることを手ぬるいと言う者は多い。 何せれいむを散々怖がらせただけで、実際にれいむに危害を加えたわけではないのだから。まぁ、精神的には危害を与えているともいえるが。 特に最終的にれいむを生かすことを批判されることが多い。同好の士の中でも私はやや異端側というわけだ。 だが、時には生きる方が辛いことがよくある。死すら救いになることが多いのだ。 救済の無い絶望の日々を生きるくらいならば、さっさと死んでしまう方が苦しまなくていい。安楽死の考え方だろう。 生きていればいつか良いことがあるならばいいが、それが可能なのは物や人に溢れた人間だから言えることであって、野生に生きる獣にそんな安易な延命は通じない。 足の骨が折れて走れなくなった草食動物を、生きていればいつか良いことがあると言えるだろうか。 牙が折れて武器を失った肉食動物を、生きていればいつか報われるとのたまうことが出来るだろうか。 ゆっくりも同じだ。 野生で生きるための力を失ったゆっくりは、もはやどうにもならない。「いつか必ず報われる日々」なんてものは決して訪れない。 れいむはまりさとつがいになることで野性を生き延びようとしていた。だから私はまりさをれいむに殺させた。れいむ種は母性で子供を育てる役目を持ち、狩りはそもそも役割ではない。 それにれいむの舌はもはや蹂躙されてしまっている。私が用意した最高級の甘味──まりさの餡子を知ってしまったのだ。もう昆虫や木の実でその舌を満足させることは出来ないだろう。 そしてれいむの役割である子育ても、その子供がまともに育て上げられる理由があってのことだ。食料は菓子類でなんとかできたとしても、それで赤れいむの舌が肥えたならばもうおしまいだ。 狩りで忙しいれいむは本来の育児を満足に出来ず、かまってもらえない子供は不満が溜まっていく。しかも頑張って狩ってきた食料は菓子類とは比べ物にならないほどまずいものしかないだろう。 れいむはやがて絶望するだろう。不慣れな狩りをしなければならず、舌を満足させられず、不平不満を叫ぶだけしか能のない子供を養わなければならない。 想像するだけで楽しくなってくる。これからあのれいむたちはどうなるのだろう? あのまま菓子類を喰いつくしてから、死ぬまで付きまとう不満足感に、れいむたちはどうやって狂っていくのだろうか。 あの親になったれいむが「おたべなさい」で自らの身体を子供に食べさせるだろうか。もしそうなったとしても、子供に生き延びる力は無い。 もう一度甘味を食べるために人間にお願いするだろうか。どうせ相手にされず、虐待派の人間に見つかって凄惨な最期を遂げるだろうか。 それともひょっとして、他のゆっくりを襲ったりするだろうか。もう一度まりさの甘さを味わうために。 明日、早速れいむたちの様子を見よう。僅かな菓子を何日で食い尽くすだろうか。その顔が絶望に染まるのは何日だろうか。いや、数時間もかからないかもしれない。 手ぬるい虐待方法だが、私はこういった方が好きなのだ。 とりあえず、今日のところはここまでとする。 ◆ れいむは夢を見ていた。 愛しのまりさや子供たちと一緒にゆっくりと過ごす夢だ。 広大な草原が広がる野原で、愛しのまりさと子供を作り、その子供たちが巣立つのを見送る、とても幸せな夢だ。 そんな、淡い夢だ。 このような稚拙な文章を読んでいただきありがとうございました。すごくぬるいいじめですね。 ではまたいつかどこかで。 by EGS
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とあるブリーダーおにいさんのところに、一匹のれいむがいました。 れいむは、四匹姉妹の下から二番目の妹でした。おとうさんは希少種であるろりすで、おかあさんはれいむ。 どちらも三代遡ってもプラチナバッチ持ちの優秀餡統の持ち主で、れいむの姉妹は皆、ペットショップに並ぶことすらないほどの高級ペット用ゆっくりとして生まれてきました。 れいむの一番上の姉は、父と同じろりすでした。 二番目の姉は、立派なありすに育ち、プラチナバッチをもらいました。 そして、四匹姉妹の末っ子は、世にも珍しいアルビノれいむ…… 『はくれいむ』として生まれました。 そのせいで、三番目れいむのゆん生は、むちゃくちゃでした。 「これは…… 素晴らしい。胴付きれいむのアルビノですか?」 「はい。『はくれいむ』と私は呼んでいますけどね。ほら、見てください。アルビノですが、お飾りの色まで真っ白にはなっていない。しかも目はオッドアイです」 「いやぁ珍しい。オークションカタログに名前が載っていたのを見たことはありましたが、実物を見るのは初めてです」 「そうでしょう。ほら、はくれいむ。こっちに来なさい。お客様に挨拶をするんだ」 れいむ姉妹のおにいさんは、高級ゆっくりのブリーダーとして、それは名を知られた人でした。 元々、お金持ちの家に生まれたブリーダーお兄さんは、ゆっくりを育てるのに惜しみなく予算を注げるだけの財産と、必要なものと不必要なものを見分けることができる商才を持ち合わせていました。だからこそ、お兄さんは、数百万単位のお金が動く、ショークオリティのゆっくりブリーダーとして成功することができたのです。 おうちはまるでお城のようで、あちこちにゆっくり用のケージが設けられています。ときどきゆっくりの商談をしにくる人たちは、薔薇園の見える応接間に通され、メイドさんたちの淹れてくれた紅茶を飲んで話をしました。 人間さんたちにとっても、夢か物語にしか出てこないような『ゆっくり』とした暮らし。 そんなおにいさんにとっても、れいむとはくれいむは、何よりの自慢のコレクションでした。ですからこうして、尋ねてくる人がいるたびに、呼び出されるのです。メイドさんに抱っこされてつれてこられたはくれいむは、お客様の顔を見て、不思議そうに首を傾げます。 「ゆぅ?」 「ほう、これは……!」 お客さんはみんな、同じことをいいます。はくれいむを見ておどろき、そして、感激するのです。 「これが、『れいむ種』だなんて、信じられないでしょう。見てください、この毛の色、この容姿」 「いやあ、ほんとうに…… なるほど、トップクオリティともなれば、れいむ種でもここまでのモノになるのですな。これなら希少種にも劣りませんよ」 はくれいむは、しかめっつらをして、お客様をにらんでいました。それでも、はくれいむは、それはそれはきれいなゆっくりだったのです。 髪の毛は、雪のようにまっしろ。毎日メイドさんがていねいに梳かして、おリボンを結びなおしてくれるから、まるで花嫁さんのヴェールのよう。肌はすべすべとしていて、透明な寒天で出来た目は、片方が赤く、片方が薄い銀色をしていました。『はくれいむ』は普通、真っ赤な目をしているものだから、これは特別にめずらしいものだといえるでしょう。 「れいむちゃん、はじめまして。おじさんは、ゆっくりをあちこちのおにいさんやお姉さんに紹介するお仕事をしているんだよ」 「ゆ…… ゆー、ゆー」 はくれいむはもじもじしながら、腕の中に抱っこしていたゆっくりに抱きつきます。おじさんは、おや、という顔をしました。 「なんですか、あの薄汚い饅頭は」 「ああ、あれは……」 おじさんは、はくれいむに抱かれていたゆっくりが、世にもみすぼらしいゆっくりれいむだったのを見て、露骨に嫌そうに顔をしかめます。 その声を聞いてびっくりしたのか、はくれいむは「ゆー!」と悲鳴をあげて、そのまま後ろにあとずさりました。 「ゆん、ゆんやー! ゆ、ゆー!」 「あ、だめだよ、はくれいむ! そこにテーブルさんが……!」 腕の中のれいむが慌てて言っても、遅かったようです。おじさんから逃げようとよたよた駆け出したはくれいむは、そのまま近くのテーブルにぶつかって、ころんと地面に転んでしまいました。 とたん、はくれいむの色違いの目に、涙が溢れ出します。転んだときに、あたまをぶつけてしまったのです。 「……ゆやぁぁぁ! ゆわあぁぁぁぁぁん!」 「だめだよはくれいむ! おきゃくさんがゆっくりできないよ! なきやんでね! ゆっくり泣き止んでね!」 生まれたばかりの赤ゆっくりとしか思えないような声、キンキン頭に響くような大声で泣き喚き始めるはくれいむを、れいむは必死でなだめます。ほんとうはさっきはくれいむが転んだときにクッション代わりに押しつぶされて、餡子をはきそうなくらい押しつぶされてしまっていたのですが、でも、そんなことを気にしていたら、いつまでたってもはくれいむが泣き止んでくれないのです。 「おにいさん、ごめんなさい。はくれいむがうるさかったら、れいむが謝るよ! おにいさんをゆっくりさせられなくてごめんなさい!」 ゆんゆんなきわめくはくれいむの下敷きになったまま、みすぼらしいれいむは必死で謝ります。さすがにおじさんも、何かがヘンだと気付いたようで、困ったような顔で、ブリーダーお兄さんのほうを見ました。 「あぁ…… ああ? なんなんですか、これは?」 「ああ、こっちのれいむはですね、はくれいむの姉妹なんですよ。それでね」 お兄さんが何を言おうとしているのかわかって、れいむは思わず、体を硬くしました。 お兄さんは笑顔でこちらに歩いてくると、まだゆんゆん泣き続けているはくれいむを抱き上げます。そうしてはくれいむの服をまくりあげ、半分以上脱がしてしまうと、よく見えるようにおじさんのほうへと向けました。 「この二匹はね、生まれつき体がくっ付いてるんですよ」 おじさんは目を丸くします。れいむは目を伏せましたが、はくれいむは何が起こっているのか分からなくて、お兄さんに抱っこされ、きゃっきゃっと声を上げて笑い始めます。 「人間で言うと、シャム双生児というやつにあたります。……はくれいむとこっちのれいむは、中枢餡を一部共有していて、切り離すことができないんですよ」 天使のようなはくれいむは、生まれたときから、何一つとしてすることができないゆっくりでした。 きれいで珍しい色違いのおめめは、片方はものが見えません。もう片方も、ぼんやりとしか見えていないようで、歩くとすぐに転びました。胴付きになって動きが大きくなると、転んだり、高いところから落ちたりする数は、何倍にも増えました。 はくれいむは、いくつになっても「ゆっくり」の一言すらいえないゆっくりでした。うんうんやしーしーをする場所を覚えることもできず、垂れ流しなのでいつもおむつを付けさせられていました。 ものすごい偏食で、あまあまさん以外をあたえられると、泣き喚いてあちこちにごはんを投げ捨てます。でも、せっかくあまあまさんをもらっても、たべているうちに半分以上を口からぽろぽろこぼしてしまいます。これは仕方の無いことで、じつははくれいむは自分の食べたものを、上手に餡子にかえることができない体質だったのでした。 その全部を代わりにやっているのが、はくれいむの腰にくっついたままうまれた、姉のれいむでした。 「はくれいむ、そっちいったら階段さんがあるよ! 階段さんからおちたらおおけがするよ!」 目の見えにくいはくれいむが怪我をしそうになったら、必死で止めて、 「メイドのおねーさん、はくれいむがうんうんしたよ…… おむつさんを変えて欲しいんだよ……」 はくれいむのうんうんやしーしーのお世話に常に気を使い、 「ゆやぁ? ゆうううう! ゆんやぁぁぁ!!」 「ゆゆ! ごはんさん投げちゃだめだよ! ほら、あまあまさんあげるよ。はくれいむ、これを食べてもいいんだよ」 「ゆーうー? やーぅ、ゆやー!」 「……れいむは、はくれいむの分もごはんさんを食べるよ! むーしゃむーしゃむーしゃむーしゃむーしゃ……」 ご飯を食べられないはくれいむのために、れいむは吐きそうになるくらいたくさんのごはんさんを、必死で毎日食べました。 れいむは、プラチナ持ちの餡統を継いで、誰よりも賢く、ゆっくりとしたゆっくりでした。 妹たちを可愛がってくれていた姉のありすは、いつも、れいむに言ってくれました。 「れいむ、あなたははくれいむをまもってあげるために、こうやってうまれてきたんだとおもうわ。だってはくれいむは、ひとりじゃぜったいに、ゆっくりすることができない子だもの」 「ゆぅ…… でもおねえちゃん、はくれいむのせいで、れいむは、いつもゆっくりできないよ……」 「れいむはかしこいのに、ゆっくりしていないのかしら? はくれいむは、『天使さん』なのよ。その天使のゆっくりをまもってあげられるのは、れいむが、だれよりもゆっくりとしたゆっくりだからじゃないかしら?」 そういって、姉ありすは、れいむのほっぺたにすーりすーりしてくれました。 でもれいむは、素直に姉ありすに甘えて、ゆっくりすることは出来ませんでした。 『もしれいむが、ちゃんとはくれいむとバラバラに別れて生まれてきたら、普通のゆっくりれいむとして暮らせたのに』 胴付きで、体の大きいはくれいむに栄養を取られてしまうれいむは、どれだけ必死でごはんさんをむーしゃむーしゃしても、ぜんぜん大きくなることができませんでした。 生まれつきの栄養不足のせいか、髪はあちこちが抜け落ち、半分くらいはげかけています。肌は栄養不足でいつもカサカサ。自分の肌を掻いてばかりいるゆっくりは、人間さんにとってゆっくりできないとわかっているので我慢していましたが、たまに耐えられなくて掻き毟ると、ぼろぼろになった小麦粉の肌がどんどん体から剥がれ落ちました。 はくれいむが癇癪を起こしてひっぱるので、おかざりのリボンさんは、半分千切れてゆがんでいます。 くさりかけたみかんのようなれいむを見た人は皆、「かわいそうに」といいました。 はくれいむに向かって。 誰よりもかわいいはくれいむ。永遠に赤ゆっくりのままのはくれいむは、誰からも愛され、可愛がられました。 ブリーダーお兄さんは、展示会やオークションがあるときには必ず、出品するゆっくりたちと一緒に、はくれいむとれいむの二匹も連れて行きました。より希少なゆっくりを、より高級なゆっくりをブリーディングすることが夢であるブリーダーお兄さんにとっては、はくれいむは、ひとつの最高傑作だったからです。 ブリーダーお兄さんに向かって、はくれいむを手に入れるためなら、いくらでも金を積む、と言った人は、何人もいました。 お兄さんはそのたびに、「はくれいむは、色々と不具合が多いですからね」と答えました。 上手におめめの見えないはくれいむは、人が多いところを怖がりました。奇声をあげようとしたり、せっかくの髪の毛さんを掻き毟ったりしようとしました。れいむはそのたびに、必死ではくれいむをなだめました。 「大丈夫だよ、はくれいむ。お兄さんがついてるから、だれもはくれいむを虐めないよ!」 「うゆぁぁ――――!! ゆぎぃ――――!」 「さ、叫ばないでね! 叫ばないでね! れいむがお歌を歌ってあげるからね! だから泣き止んでね! ゆ~、ゆゆゆ~♪ ゆゆ~♪ おちびちゃんは~ おねえちゃんの~♪ あまあまさん~♪」 「ゆうううう…… ゆぎああああ! ゆぎゃああ!!」 「ゆゆゆ~♪ とってもゆっくり~ できるんだよ~♪ ゆ~ ゆゆ~♪」 はくれいむにもみ上げを力いっぱいひっぱられる激痛に耐えながら、れいむは、必死で笑って、おうたを歌いました。れいむのおうたは、おとうさんのありすから教えてもらったものでした。姉のろりすほどの美声はなくっても、歌はれいむのほうが上手だねと、ほめてもらえるくらいの歌でした。 「ゆあぁ……」 なきやんだはくれいむがにっこりすると、その笑顔は、れいむですら見蕩れてしまうくらい、かわいらしいものでした。左右で色の違うおめめ。真っ白な髪。ブリーダーお兄さんが自慢するとおり、はくれいむは、ショウクオリティのゆっくりとしても一流といえるほどの美ゆっくりだったのですから。 「うわぁ…… かなこさま! まっしろな胴付きのれいむがいますよ!」 「おや、ほんとうだ。めずらしいねえ、これは」 通りすがりの胴付きさなえとかなこが姉妹に気付いて、たちどまりました。歌を聴いていたのでしょうか。きげんのよくなったはくれいむは、二匹にむかって、「ゆ~♪」とあどけなくわらってみせます。さなえの顔がちょっと赤くなりました。 「ふむ、これはめずらしい。アルビノなだけじゃなくって、左右の目の色がちがうんだね」 「れいむさん、とっても歌がお上手なんですね!」 「うゆー…… あー……?」 さなえに話しかけられたはくれいむは、ぽかんと口を開けることしかできません。はくれいむは、中枢餡が足りないので、生まれたばかりの赤ゆっくりと同じか、それくらいの知能しかもっていなかったのでした。仕方なくれいむが答えました。 「……れいむとはくれいむは、ブリーダーお兄さんのところのゆっくりだよ。今日はお兄さんが即売会にゆっくりを卸しにきたから、れいむたちもいっしょに来たんだよ」 「え? なに、今の…… えっ! やだ、なに、この汚いの!」 しゃべっていたのが、腰の辺りにくっついていたれいむと気付いたさなえは、悲鳴をあげてあとずさりました。まるで気持ち悪い虫でも見つけたような顔だし、声でした。 「しろいれいむ…… このしなびたゆっくり、なんなんだい?」 かなこも、嫌悪感を隠し切れない表情で、でもゆっくりとした口調で、はくれいむに問いかけます。 「ゆあー?」 「……れいむは、はくれいむのおねえちゃんだよ。生まれつき腰のところがくっついてて、はなれることができないんだよ……」 「えっ…… きょうだい、なんですか? うそでしょう?」 「……。ほんとうだよ。ぜんぜん似てないけど、れいむは、はくれいむのおねえちゃんだよ」 髪はまだらに禿かけて、体はしわしわにしなび、おリボンももみ上げもボロボロになった、れいむ。 綿みたいに真っ白な髪に、羽二重餅のような肌。天使みたいな笑顔をもったはくれいむとは、とても姉妹とは思えない。れいむはそれを、ちゃんと、分かっていました。 「ふうむ。だからあんたたち、出展されなかったんだねえ」 「びっくりさせちゃって、ごめんなさい。でもはくれいむにもれいむにも、わるぎはなかったんだよ。だから、ゆっくりゆるしてくれると、すごくうれしいな」 れいむとかなこの喋ってることがぜんぜんわからないはくれいむは、色違いの目をぱちぱちさせて、「ゆー、ゆゆー」とれいむの歌をまねていました。かわいいかわいい声の、調子外れの、へたくそなお歌でした。 さなえは、しわくちゃにしなびたれいむが話すのを聞いて、あわててあやまってくれました。 「ごめんなさい。さっきは、『汚い』なんて、ゆっくりできないことをいってしまいました」 れいむは、笑って、こう答えました。 「……なれてるから、へいきだよ」 ―――なれてるなんて、うそでした。 ブリーダーお兄さんといっしょにお屋敷に帰ると、世話係のメイドさんがはくれいむをお風呂にいれてくれます。 今日ももらしてしまったうんうんとしーしーに汚れたおしりをていねいにあらって、最高級の砂糖を粉にしたものをはたいてくれます。髪の毛をブラシで梳かします。そうするとはくれいむの肌は白玉みたいにすべすべになり、髪は、真っ白な砂糖で作った飴菓子みたいにつやつや光るようになるのです。 メイドのおねえさんは、れいむのことも、ちゃんとお世話をしてくれます。 何をしても乾いてぽろぽろ表面がはがれてしまう肌にオレンジジュースを刷毛で塗り、はくれいむにひっぱられてぐしゃぐしゃになってしまったリボンを結びなおしてくれます。 でも、はくれいむとれいむは、それだけのことをしてもらっても、やっぱり、比べようも無いくらい、違っていました。 ブリーダーお兄さんが、胴付きのために買ってくれるベビーベッドの中で、羽のお布団の上にねころがって。 はくれいむが寝てしまっても、れいむは眠れませんでした。明かりの消えた部屋の中で、だまって、妹の顔を、そして、同じ部屋で寝かされている胴付きゆっくりたちのことを、見つめていました。 胴付きの、まだ子どものらんがいました。 れいむにとっては従兄弟にあたる、胴付きまりさもいました。 ふらんがいました。ゆうかがいました。ちぇんもいました。 みんな、きれいに洗われてつやつやして、きちんとしつけられてお行儀もよく、普通のゆっくりが見たら天使と見間違えるんじゃないかと思うくらいの美ゆっくりばかりでした。 でも、その中でもいちばんの美ゆっくりは、やっぱりはくれいむでした。 そして、しなびかけ、髪もはんぶん禿かけて、腐ったみかんみたいにみすぼらしいのは、れいむ一匹だけでした。 れいむの目から、一滴の砂糖水が、ぽとんとおっこちました。 『……れいむはたぶん、いっしょう、はくれいむにくっついたままくらすんだね』 『すきなゆっくりといっしょになって、ちゅっちゅしたり、すーりすーりすることもできない』 『おちびちゃんをつくることもできない』 『みんながはくれいむのことをほめるのをきいて、れいむははくれいむのごはんさんやうんうんのお世話をして』 『しわしわのくさったまんじゅうさんのまま、ずっと、ずっと、はくれいむがみんなにかわいいって言われるのを、きいて生きるんだね』 れいむはたぶん、しあわせなゆっくりでした。 あったかいおふとん、おいしいあまあま、捕食種やゲスにいじめられることもない暮らし。 それにもかかわらず、れいむはいつも、ふしあわせでした。 「……これじゃ、ゆっくり、できないよ……」 れいむは、横でねむっているはくれいむを見ました。 そして思いました。 もしも、はくれいむを殺してしまえば、れいむもゆっくり出来るかもしれないのに、と。 そして春さんがすぎ、夏さんがすぎ、はくれいむもれいむも、すっかり大きくなりました。 はくれいむは、ますます美ゆっくりへと成長していきました。ゆっくりだけでなく、愛でお兄さんやHENTAIお兄さん、ただのゆっくりファンですら、夢に見るような胴付きれいむへと育っていきました。 そしてその一方で、れいむは、ますます小さく萎びてぼろぼろになり、みすぼらしくなっていきました。 飴さんをたべ、蜂蜜さんをなめるのがせいぜいのはくれいむに代わり、たくさんごはんをむーしゃむーしゃしようとしても、気持ち悪くなって途中で吐いてしまいます。髪の毛はひっぱられてもいないのにほとんど全部ぬけてしまい、しょぼしょぼと細い束がかろうじておリボンをのっけているだけです。 もみあげは途中で千切れてしまいました。 おめめがひとつ、かびて見えなくなりました。 れいむはもう、好きだったお歌をうたうこともできなくなりました。 ほとんど見えない眼でうろうろと歩き回るはくれいむのおなかの辺りで、れいむはもう、ただの腫れ物みたいに、だまってくっついているだけの存在へと成り果ててしまっていました。 そんなれいむたちに、ある日、ブリーダーお兄さんの連れてきたお医者様が、言いました。 「れいむ。はくれいむ。よく聞きなさい。君たちは、このままだとまもなく、死んでしまうだろう」 「……どういうことなの?」 はくれいむは、自分が話しかけられていることもわからないで、陰陽玉をぶきように投げて遊んでいました。 お医者様は『れいむ』のほうをみて、ゆっくりにも分かるよう、噛んで含めるように説明をしてくれました。 「はくれいむは、自分だとご飯を食べられないね? 眼も良く見えないし、ものも考えられないよね」 「……そのとおりだよ。代わりにれいむが、ごはんさんをたべて、いろいろかんがえたり、おめめのかわりになったりしてるんだよ」 「それは、はくれいむの中にある中枢餡…… いちばん大切な餡子さんが、お母さんの中でちゃんと作られなかったせいなんだ。 だから、はくれいむは君の中枢餡を機能を借りて、生きるための力を得ている。だが、君の体ははくれいむの分もフル回転しつづけて、もうぼろぼろだ」 「れいむたち、どうなるの」 「君はこのままでは、間もなく死ぬだろう。そうすれば、自分の力では生き延びられないはくれいむも間もなく死ぬ。 だが、君たちを切り離せば、れいむ、せめて君だけは助けることができるんだ」 「……ゆ……?」 れいむは干からびかけた眼を開けて、はくれいむを見ました。 陰陽玉を手の中で転がして、まるで、おちびちゃんのように無邪気にわらっている妹を。 「ばらばらに、なるの?」 「成功すれば、できる。とても難しい手術になるがね」 れいむは思いました。 ばらばらになれば、れいむは、死なないで済む。―――ふつうのゆっくりになれる。自分のためにごはんをたべられる。お歌をうたえる。自分のあんよで、歩くことができる。 でも、そうしたら、はくれいむは、死んでしまう…… 「……れいむ、ふつうのゆっくりに、なれるの?」 お医者様は、ゆっくりと、頷きました。 ブリーダーお兄さんは、れいむとはくれいむの手術を決めました。 とても高いお金が必要でしたが、お兄さんはためらいませんでした。 だって二匹は、お兄さんの夢の結晶ともいえる、世にも希少なゆっくりだったのですから。 れいむは、長い長い眠りの間、こう思っていました。 誰よりもきれいな妹。永遠に、おちびちゃんのままの妹。 本当の意味でご飯を食べたこともなく、言葉を喋ったこともなく。 きれいで、誰からも愛されて、愛でられるだけのれいむの妹。 きっとはくれいむは、自分が永遠にゆっくりすることになっても、きっと気付きもしないでしょう。 だってはくれいむは、『ゆっくり』という言葉の意味すら、知らないのですから。 目を醒ますと、れいむは、ひとりでお布団さんの上にいました。 長い夢でも見ていたようでした。 「……ゆ……?」 体はほとんど動きませんでしたが、千切れてしまったはずのもみあげさんが元に戻っていました。おめめも両方みえました。周りを見回すと、体に小さなチューブが差し込まれ、オレンジジュースが一滴づつ注がれているのが分かりました。 しばらくするとメイドさんが部屋にはいってきて、れいむにスプーンでやわらかいゆっくりフードを食べさせてくれました。 うまれてはじめての、一人前のごはんでした。 れいむがやがて、自分でごはんを食べられるようになったころ、ブリーダーお兄さんが久しぶりに逢いに来てくれました。 お兄さんは口を開くなり、こういいました。 「はくれいむに会う気はないか?」 手術をしてからいっぺんもあっていない、れいむの妹。 「あいつ、もう危ないんだよ」 お兄さんは別に哀しそうでもなく、淡々とした口調で言いました。 れいむが連れて行かれた部屋には、おちびちゃん用の箱が置かれていました。傍にはもうれいむからはとっくに抜かれた、オレンジジュースを一滴ずつ垂らすチューブが置いてありました。 れいむが箱の中を覗くと、そこには、黒く干からびかけた、腐りかけのみかんのようなものが入っていました。 「ゆ゛……」 それが、はくれいむのはずでした。 誰よりもきれいな、天使のような、れいむの妹の、はずでした。 「……はくれいむ?」 「ゆ゛…ゆ゛……」 れいむが呼びかけると、腐りかけのみかんは、もぞもぞと少しだけ動きました。 ぽっかりとあいた口の中には、歯が一本もありませんでした。髪はすべて抜けていました。色違いだったきれいなおめめは、なくなっていました。 れいむは思いました。 いったい、これは何の冗談なんだろうと。 箱の中で死んでいこうとしているのは、まともにものを食べることも出来ず、みにくく干からびて、みすぼらしい姿のれいむ。 紛れもなく、いままで生まれてからずっと鏡で見続けてきていた、れいむ、自身でした。 お兄さんが箱の傍にしゃがみ、手を伸ばして撫でてやると、しなびたまんじゅうは、小さな声で鳴きました。お兄さんはずっと、箱の中のゆっくりを見つめていました。お兄さんが何を考えているのか、れいむには分かりませんでした。自分が何を考えているのかも、分かりませんでした。 次の日、はくれいむは、死にました。 れいむはその後、栄養のあるものをたくさん食べ、お医者の指導に従って運動もし、どんどん元気になりました。 やがて体が変化を迎え、れいむは胴付きれいむへと姿を変えていました。髪は真っ白で、眼の色は左右でちがっていました。はくれいむとれいむは、ひとつの餡子を分け合ったゆっくりでした。れいむもまた、ちゃんと栄養を得て成長すれば、妹と同じ姿になる素養を持っていたのです。 れいむは、バッジ習得のために、たくさん勉強をしました。 元から賢いれいむには、さほど苦になることではありませんでした。 そして、れいむが金バッチを取得し、さらにプラチナバッジを取得する目処がたったころ、ブリーダーお兄さんは始めて、れいむを展示会に出すことを決めました。 アルビノ胴付れいむのオッドアイ。 パンフレットには、そう書かれました。 お屋敷にとどいたパンフレットを見たれいむは、お兄さんにていねいに頼んで、一冊別けてもらいました。 その晩、れいむは眠ることもできず、一晩中パンフレットを見つめていました。 そこには、世にも美しい、一匹の希少種ゆっくりがうつっていました。 髪は砂糖の真っ白で、絹のようにつやつやと輝いています。 肌はもちもちとやわらかく、まるで羽二重餅のよう。 眼は、片方が赤で、もう片方は薄い銀色でした。実は銀色のほうの眼は、ものが見えないのです。 れいむが、とてもよく知っているゆっくりでした。 れいむはパンフレットを閉じ、壁にかけられた鏡を見ました。 生まれたときからひと時も離れず、憎み続け、疎み続け、誰よりも妬み、愛していた、妹のはくれいむが、そこにいました。 永遠にゆっくりしてしまった、あの干からびたゆっくりは、誰だったんだろう。 この鏡に映っているゆっくりは、いったい、誰なんだろう。 れいむは、ひとりで歌いました。おかあさんから教わった歌を。はくれいむに、毎日うたってやった歌を。 「ゆ~、ゆゆ~、ゆ~♪ おちびちゃんは~ おねえちゃんの~♪」 部屋の中はしいんとしていて、れいむの声だけがきこえてきます。 「あまあまさん~ とってもゆっくり~ できるんだ… よ…」 れいむは歌いました。誰も聞いていなかったけれど、ずっとずっと、歌いつづけました。 れいむは、歌いながら、泣きました。
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とあるブリーダーおにいさんのところに、一匹のれいむがいました。 れいむは、四匹姉妹の下から二番目の妹でした。おとうさんは希少種であるろりすで、おかあさんはれいむ。 どちらも三代遡ってもプラチナバッチ持ちの優秀餡統の持ち主で、れいむの姉妹は皆、ペットショップに並ぶことすらないほどの高級ペット用ゆっくりとして生まれてきました。 れいむの一番上の姉は、父と同じろりすでした。 二番目の姉は、立派なありすに育ち、プラチナバッチをもらいました。 そして、四匹姉妹の末っ子は、世にも珍しいアルビノれいむ…… 『はくれいむ』として生まれました。 そのせいで、三番目れいむのゆん生は、むちゃくちゃでした。 「これは…… 素晴らしい。胴付きれいむのアルビノですか?」 「はい。『はくれいむ』と私は呼んでいますけどね。ほら、見てください。アルビノですが、お飾りの色まで真っ白にはなっていない。しかも目はオッドアイです」 「いやぁ珍しい。オークションカタログに名前が載っていたのを見たことはありましたが、実物を見るのは初めてです」 「そうでしょう。ほら、はくれいむ。こっちに来なさい。お客様に挨拶をするんだ」 れいむ姉妹のおにいさんは、高級ゆっくりのブリーダーとして、それは名を知られた人でした。 元々、お金持ちの家に生まれたブリーダーお兄さんは、ゆっくりを育てるのに惜しみなく予算を注げるだけの財産と、必要なものと不必要なものを見分けることができる商才を持ち合わせていました。だからこそ、お兄さんは、数百万単位のお金が動く、ショークオリティのゆっくりブリーダーとして成功することができたのです。 おうちはまるでお城のようで、あちこちにゆっくり用のケージが設けられています。ときどきゆっくりの商談をしにくる人たちは、薔薇園の見える応接間に通され、メイドさんたちの淹れてくれた紅茶を飲んで話をしました。 人間さんたちにとっても、夢か物語にしか出てこないような『ゆっくり』とした暮らし。 そんなおにいさんにとっても、れいむとはくれいむは、何よりの自慢のコレクションでした。ですからこうして、尋ねてくる人がいるたびに、呼び出されるのです。メイドさんに抱っこされてつれてこられたはくれいむは、お客様の顔を見て、不思議そうに首を傾げます。 「ゆぅ?」 「ほう、これは……!」 お客さんはみんな、同じことをいいます。はくれいむを見ておどろき、そして、感激するのです。 「これが、『れいむ種』だなんて、信じられないでしょう。見てください、この毛の色、この容姿」 「いやあ、ほんとうに…… なるほど、トップクオリティともなれば、れいむ種でもここまでのモノになるのですな。これなら希少種にも劣りませんよ」 はくれいむは、しかめっつらをして、お客様をにらんでいました。それでも、はくれいむは、それはそれはきれいなゆっくりだったのです。 髪の毛は、雪のようにまっしろ。毎日メイドさんがていねいに梳かして、おリボンを結びなおしてくれるから、まるで花嫁さんのヴェールのよう。肌はすべすべとしていて、透明な寒天で出来た目は、片方が赤く、片方が薄い銀色をしていました。『はくれいむ』は普通、真っ赤な目をしているものだから、これは特別にめずらしいものだといえるでしょう。 「れいむちゃん、はじめまして。おじさんは、ゆっくりをあちこちのおにいさんやお姉さんに紹介するお仕事をしているんだよ」 「ゆ…… ゆー、ゆー」 はくれいむはもじもじしながら、腕の中に抱っこしていたゆっくりに抱きつきます。おじさんは、おや、という顔をしました。 「なんですか、あの薄汚い饅頭は」 「ああ、あれは……」 おじさんは、はくれいむに抱かれていたゆっくりが、世にもみすぼらしいゆっくりれいむだったのを見て、露骨に嫌そうに顔をしかめます。 その声を聞いてびっくりしたのか、はくれいむは「ゆー!」と悲鳴をあげて、そのまま後ろにあとずさりました。 「ゆん、ゆんやー! ゆ、ゆー!」 「あ、だめだよ、はくれいむ! そこにテーブルさんが……!」 腕の中のれいむが慌てて言っても、遅かったようです。おじさんから逃げようとよたよた駆け出したはくれいむは、そのまま近くのテーブルにぶつかって、ころんと地面に転んでしまいました。 とたん、はくれいむの色違いの目に、涙が溢れ出します。転んだときに、あたまをぶつけてしまったのです。 「……ゆやぁぁぁ! ゆわあぁぁぁぁぁん!」 「だめだよはくれいむ! おきゃくさんがゆっくりできないよ! なきやんでね! ゆっくり泣き止んでね!」 生まれたばかりの赤ゆっくりとしか思えないような声、キンキン頭に響くような大声で泣き喚き始めるはくれいむを、れいむは必死でなだめます。ほんとうはさっきはくれいむが転んだときにクッション代わりに押しつぶされて、餡子をはきそうなくらい押しつぶされてしまっていたのですが、でも、そんなことを気にしていたら、いつまでたってもはくれいむが泣き止んでくれないのです。 「おにいさん、ごめんなさい。はくれいむがうるさかったら、れいむが謝るよ! おにいさんをゆっくりさせられなくてごめんなさい!」 ゆんゆんなきわめくはくれいむの下敷きになったまま、みすぼらしいれいむは必死で謝ります。さすがにおじさんも、何かがヘンだと気付いたようで、困ったような顔で、ブリーダーお兄さんのほうを見ました。 「あぁ…… ああ? なんなんですか、これは?」 「ああ、こっちのれいむはですね、はくれいむの姉妹なんですよ。それでね」 お兄さんが何を言おうとしているのかわかって、れいむは思わず、体を硬くしました。 お兄さんは笑顔でこちらに歩いてくると、まだゆんゆん泣き続けているはくれいむを抱き上げます。そうしてはくれいむの服をまくりあげ、半分以上脱がしてしまうと、よく見えるようにおじさんのほうへと向けました。 「この二匹はね、生まれつき体がくっ付いてるんですよ」 おじさんは目を丸くします。れいむは目を伏せましたが、はくれいむは何が起こっているのか分からなくて、お兄さんに抱っこされ、きゃっきゃっと声を上げて笑い始めます。 「人間で言うと、シャム双生児というやつにあたります。……はくれいむとこっちのれいむは、中枢餡を一部共有していて、切り離すことができないんですよ」 天使のようなはくれいむは、生まれたときから、何一つとしてすることができないゆっくりでした。 きれいで珍しい色違いのおめめは、片方はものが見えません。もう片方も、ぼんやりとしか見えていないようで、歩くとすぐに転びました。胴付きになって動きが大きくなると、転んだり、高いところから落ちたりする数は、何倍にも増えました。 はくれいむは、いくつになっても「ゆっくり」の一言すらいえないゆっくりでした。うんうんやしーしーをする場所を覚えることもできず、垂れ流しなのでいつもおむつを付けさせられていました。 ものすごい偏食で、あまあまさん以外をあたえられると、泣き喚いてあちこちにごはんを投げ捨てます。でも、せっかくあまあまさんをもらっても、たべているうちに半分以上を口からぽろぽろこぼしてしまいます。これは仕方の無いことで、じつははくれいむは自分の食べたものを、上手に餡子にかえることができない体質だったのでした。 その全部を代わりにやっているのが、はくれいむの腰にくっついたままうまれた、姉のれいむでした。 「はくれいむ、そっちいったら階段さんがあるよ! 階段さんからおちたらおおけがするよ!」 目の見えにくいはくれいむが怪我をしそうになったら、必死で止めて、 「メイドのおねーさん、はくれいむがうんうんしたよ…… おむつさんを変えて欲しいんだよ……」 はくれいむのうんうんやしーしーのお世話に常に気を使い、 「ゆやぁ? ゆうううう! ゆんやぁぁぁ!!」 「ゆゆ! ごはんさん投げちゃだめだよ! ほら、あまあまさんあげるよ。はくれいむ、これを食べてもいいんだよ」 「ゆーうー? やーぅ、ゆやー!」 「……れいむは、はくれいむの分もごはんさんを食べるよ! むーしゃむーしゃむーしゃむーしゃむーしゃ……」 ご飯を食べられないはくれいむのために、れいむは吐きそうになるくらいたくさんのごはんさんを、必死で毎日食べました。 れいむは、プラチナ持ちの餡統を継いで、誰よりも賢く、ゆっくりとしたゆっくりでした。 妹たちを可愛がってくれていた姉のありすは、いつも、れいむに言ってくれました。 「れいむ、あなたははくれいむをまもってあげるために、こうやってうまれてきたんだとおもうわ。だってはくれいむは、ひとりじゃぜったいに、ゆっくりすることができない子だもの」 「ゆぅ…… でもおねえちゃん、はくれいむのせいで、れいむは、いつもゆっくりできないよ……」 「れいむはかしこいのに、ゆっくりしていないのかしら? はくれいむは、『天使さん』なのよ。その天使のゆっくりをまもってあげられるのは、れいむが、だれよりもゆっくりとしたゆっくりだからじゃないかしら?」 そういって、姉ありすは、れいむのほっぺたにすーりすーりしてくれました。 でもれいむは、素直に姉ありすに甘えて、ゆっくりすることは出来ませんでした。 『もしれいむが、ちゃんとはくれいむとバラバラに別れて生まれてきたら、普通のゆっくりれいむとして暮らせたのに』 胴付きで、体の大きいはくれいむに栄養を取られてしまうれいむは、どれだけ必死でごはんさんをむーしゃむーしゃしても、ぜんぜん大きくなることができませんでした。 生まれつきの栄養不足のせいか、髪はあちこちが抜け落ち、半分くらいはげかけています。肌は栄養不足でいつもカサカサ。自分の肌を掻いてばかりいるゆっくりは、人間さんにとってゆっくりできないとわかっているので我慢していましたが、たまに耐えられなくて掻き毟ると、ぼろぼろになった小麦粉の肌がどんどん体から剥がれ落ちました。 はくれいむが癇癪を起こしてひっぱるので、おかざりのリボンさんは、半分千切れてゆがんでいます。 くさりかけたみかんのようなれいむを見た人は皆、「かわいそうに」といいました。 はくれいむに向かって。 誰よりもかわいいはくれいむ。永遠に赤ゆっくりのままのはくれいむは、誰からも愛され、可愛がられました。 ブリーダーお兄さんは、展示会やオークションがあるときには必ず、出品するゆっくりたちと一緒に、はくれいむとれいむの二匹も連れて行きました。より希少なゆっくりを、より高級なゆっくりをブリーディングすることが夢であるブリーダーお兄さんにとっては、はくれいむは、ひとつの最高傑作だったからです。 ブリーダーお兄さんに向かって、はくれいむを手に入れるためなら、いくらでも金を積む、と言った人は、何人もいました。 お兄さんはそのたびに、「はくれいむは、色々と不具合が多いですからね」と答えました。 上手におめめの見えないはくれいむは、人が多いところを怖がりました。奇声をあげようとしたり、せっかくの髪の毛さんを掻き毟ったりしようとしました。れいむはそのたびに、必死ではくれいむをなだめました。 「大丈夫だよ、はくれいむ。お兄さんがついてるから、だれもはくれいむを虐めないよ!」 「うゆぁぁ――――!! ゆぎぃ――――!」 「さ、叫ばないでね! 叫ばないでね! れいむがお歌を歌ってあげるからね! だから泣き止んでね! ゆ~、ゆゆゆ~♪ ゆゆ~♪ おちびちゃんは~ おねえちゃんの~♪ あまあまさん~♪」 「ゆうううう…… ゆぎああああ! ゆぎゃああ!!」 「ゆゆゆ~♪ とってもゆっくり~ できるんだよ~♪ ゆ~ ゆゆ~♪」 はくれいむにもみ上げを力いっぱいひっぱられる激痛に耐えながら、れいむは、必死で笑って、おうたを歌いました。れいむのおうたは、おとうさんのありすから教えてもらったものでした。姉のろりすほどの美声はなくっても、歌はれいむのほうが上手だねと、ほめてもらえるくらいの歌でした。 「ゆあぁ……」 なきやんだはくれいむがにっこりすると、その笑顔は、れいむですら見蕩れてしまうくらい、かわいらしいものでした。左右で色の違うおめめ。真っ白な髪。ブリーダーお兄さんが自慢するとおり、はくれいむは、ショウクオリティのゆっくりとしても一流といえるほどの美ゆっくりだったのですから。 「うわぁ…… かなこさま! まっしろな胴付きのれいむがいますよ!」 「おや、ほんとうだ。めずらしいねえ、これは」 通りすがりの胴付きさなえとかなこが姉妹に気付いて、たちどまりました。歌を聴いていたのでしょうか。きげんのよくなったはくれいむは、二匹にむかって、「ゆ~♪」とあどけなくわらってみせます。さなえの顔がちょっと赤くなりました。 「ふむ、これはめずらしい。アルビノなだけじゃなくって、左右の目の色がちがうんだね」 「れいむさん、とっても歌がお上手なんですね!」 「うゆー…… あー……?」 さなえに話しかけられたはくれいむは、ぽかんと口を開けることしかできません。はくれいむは、中枢餡が足りないので、生まれたばかりの赤ゆっくりと同じか、それくらいの知能しかもっていなかったのでした。仕方なくれいむが答えました。 「……れいむとはくれいむは、ブリーダーお兄さんのところのゆっくりだよ。今日はお兄さんが即売会にゆっくりを卸しにきたから、れいむたちもいっしょに来たんだよ」 「え? なに、今の…… えっ! やだ、なに、この汚いの!」 しゃべっていたのが、腰の辺りにくっついていたれいむと気付いたさなえは、悲鳴をあげてあとずさりました。まるで気持ち悪い虫でも見つけたような顔だし、声でした。 「しろいれいむ…… このしなびたゆっくり、なんなんだい?」 かなこも、嫌悪感を隠し切れない表情で、でもゆっくりとした口調で、はくれいむに問いかけます。 「ゆあー?」 「……れいむは、はくれいむのおねえちゃんだよ。生まれつき腰のところがくっついてて、はなれることができないんだよ……」 「えっ…… きょうだい、なんですか? うそでしょう?」 「……。ほんとうだよ。ぜんぜん似てないけど、れいむは、はくれいむのおねえちゃんだよ」 髪はまだらに禿かけて、体はしわしわにしなび、おリボンももみ上げもボロボロになった、れいむ。 綿みたいに真っ白な髪に、羽二重餅のような肌。天使みたいな笑顔をもったはくれいむとは、とても姉妹とは思えない。れいむはそれを、ちゃんと、分かっていました。 「ふうむ。だからあんたたち、出展されなかったんだねえ」 「びっくりさせちゃって、ごめんなさい。でもはくれいむにもれいむにも、わるぎはなかったんだよ。だから、ゆっくりゆるしてくれると、すごくうれしいな」 れいむとかなこの喋ってることがぜんぜんわからないはくれいむは、色違いの目をぱちぱちさせて、「ゆー、ゆゆー」とれいむの歌をまねていました。かわいいかわいい声の、調子外れの、へたくそなお歌でした。 さなえは、しわくちゃにしなびたれいむが話すのを聞いて、あわててあやまってくれました。 「ごめんなさい。さっきは、『汚い』なんて、ゆっくりできないことをいってしまいました」 れいむは、笑って、こう答えました。 「……なれてるから、へいきだよ」 ―――なれてるなんて、うそでした。 ブリーダーお兄さんといっしょにお屋敷に帰ると、世話係のメイドさんがはくれいむをお風呂にいれてくれます。 今日ももらしてしまったうんうんとしーしーに汚れたおしりをていねいにあらって、最高級の砂糖を粉にしたものをはたいてくれます。髪の毛をブラシで梳かします。そうするとはくれいむの肌は白玉みたいにすべすべになり、髪は、真っ白な砂糖で作った飴菓子みたいにつやつや光るようになるのです。 メイドのおねえさんは、れいむのことも、ちゃんとお世話をしてくれます。 何をしても乾いてぽろぽろ表面がはがれてしまう肌にオレンジジュースを刷毛で塗り、はくれいむにひっぱられてぐしゃぐしゃになってしまったリボンを結びなおしてくれます。 でも、はくれいむとれいむは、それだけのことをしてもらっても、やっぱり、比べようも無いくらい、違っていました。 ブリーダーお兄さんが、胴付きのために買ってくれるベビーベッドの中で、羽のお布団の上にねころがって。 はくれいむが寝てしまっても、れいむは眠れませんでした。明かりの消えた部屋の中で、だまって、妹の顔を、そして、同じ部屋で寝かされている胴付きゆっくりたちのことを、見つめていました。 胴付きの、まだ子どものらんがいました。 れいむにとっては従兄弟にあたる、胴付きまりさもいました。 ふらんがいました。ゆうかがいました。ちぇんもいました。 みんな、きれいに洗われてつやつやして、きちんとしつけられてお行儀もよく、普通のゆっくりが見たら天使と見間違えるんじゃないかと思うくらいの美ゆっくりばかりでした。 でも、その中でもいちばんの美ゆっくりは、やっぱりはくれいむでした。 そして、しなびかけ、髪もはんぶん禿かけて、腐ったみかんみたいにみすぼらしいのは、れいむ一匹だけでした。 れいむの目から、一滴の砂糖水が、ぽとんとおっこちました。 『……れいむはたぶん、いっしょう、はくれいむにくっついたままくらすんだね』 『すきなゆっくりといっしょになって、ちゅっちゅしたり、すーりすーりすることもできない』 『おちびちゃんをつくることもできない』 『みんながはくれいむのことをほめるのをきいて、れいむははくれいむのごはんさんやうんうんのお世話をして』 『しわしわのくさったまんじゅうさんのまま、ずっと、ずっと、はくれいむがみんなにかわいいって言われるのを、きいて生きるんだね』 れいむはたぶん、しあわせなゆっくりでした。 あったかいおふとん、おいしいあまあま、捕食種やゲスにいじめられることもない暮らし。 それにもかかわらず、れいむはいつも、ふしあわせでした。 「……これじゃ、ゆっくり、できないよ……」 れいむは、横でねむっているはくれいむを見ました。 そして思いました。 もしも、はくれいむを殺してしまえば、れいむもゆっくり出来るかもしれないのに、と。 そして春さんがすぎ、夏さんがすぎ、はくれいむもれいむも、すっかり大きくなりました。 はくれいむは、ますます美ゆっくりへと成長していきました。ゆっくりだけでなく、愛でお兄さんやHENTAIお兄さん、ただのゆっくりファンですら、夢に見るような胴付きれいむへと育っていきました。 そしてその一方で、れいむは、ますます小さく萎びてぼろぼろになり、みすぼらしくなっていきました。 飴さんをたべ、蜂蜜さんをなめるのがせいぜいのはくれいむに代わり、たくさんごはんをむーしゃむーしゃしようとしても、気持ち悪くなって途中で吐いてしまいます。髪の毛はひっぱられてもいないのにほとんど全部ぬけてしまい、しょぼしょぼと細い束がかろうじておリボンをのっけているだけです。 もみあげは途中で千切れてしまいました。 おめめがひとつ、かびて見えなくなりました。 れいむはもう、好きだったお歌をうたうこともできなくなりました。 ほとんど見えない眼でうろうろと歩き回るはくれいむのおなかの辺りで、れいむはもう、ただの腫れ物みたいに、だまってくっついているだけの存在へと成り果ててしまっていました。 そんなれいむたちに、ある日、ブリーダーお兄さんの連れてきたお医者様が、言いました。 「れいむ。はくれいむ。よく聞きなさい。君たちは、このままだとまもなく、死んでしまうだろう」 「……どういうことなの?」 はくれいむは、自分が話しかけられていることもわからないで、陰陽玉をぶきように投げて遊んでいました。 お医者様は『れいむ』のほうをみて、ゆっくりにも分かるよう、噛んで含めるように説明をしてくれました。 「はくれいむは、自分だとご飯を食べられないね? 眼も良く見えないし、ものも考えられないよね」 「……そのとおりだよ。代わりにれいむが、ごはんさんをたべて、いろいろかんがえたり、おめめのかわりになったりしてるんだよ」 「それは、はくれいむの中にある中枢餡…… いちばん大切な餡子さんが、お母さんの中でちゃんと作られなかったせいなんだ。 だから、はくれいむは君の中枢餡を機能を借りて、生きるための力を得ている。だが、君の体ははくれいむの分もフル回転しつづけて、もうぼろぼろだ」 「れいむたち、どうなるの」 「君はこのままでは、間もなく死ぬだろう。そうすれば、自分の力では生き延びられないはくれいむも間もなく死ぬ。 だが、君たちを切り離せば、れいむ、せめて君だけは助けることができるんだ」 「……ゆ……?」 れいむは干からびかけた眼を開けて、はくれいむを見ました。 陰陽玉を手の中で転がして、まるで、おちびちゃんのように無邪気にわらっている妹を。 「ばらばらに、なるの?」 「成功すれば、できる。とても難しい手術になるがね」 れいむは思いました。 ばらばらになれば、れいむは、死なないで済む。―――ふつうのゆっくりになれる。自分のためにごはんをたべられる。お歌をうたえる。自分のあんよで、歩くことができる。 でも、そうしたら、はくれいむは、死んでしまう…… 「……れいむ、ふつうのゆっくりに、なれるの?」 お医者様は、ゆっくりと、頷きました。 ブリーダーお兄さんは、れいむとはくれいむの手術を決めました。 とても高いお金が必要でしたが、お兄さんはためらいませんでした。 だって二匹は、お兄さんの夢の結晶ともいえる、世にも希少なゆっくりだったのですから。 れいむは、長い長い眠りの間、こう思っていました。 誰よりもきれいな妹。永遠に、おちびちゃんのままの妹。 本当の意味でご飯を食べたこともなく、言葉を喋ったこともなく。 きれいで、誰からも愛されて、愛でられるだけのれいむの妹。 きっとはくれいむは、自分が永遠にゆっくりすることになっても、きっと気付きもしないでしょう。 だってはくれいむは、『ゆっくり』という言葉の意味すら、知らないのですから。 目を醒ますと、れいむは、ひとりでお布団さんの上にいました。 長い夢でも見ていたようでした。 「……ゆ……?」 体はほとんど動きませんでしたが、千切れてしまったはずのもみあげさんが元に戻っていました。おめめも両方みえました。周りを見回すと、体に小さなチューブが差し込まれ、オレンジジュースが一滴づつ注がれているのが分かりました。 しばらくするとメイドさんが部屋にはいってきて、れいむにスプーンでやわらかいゆっくりフードを食べさせてくれました。 うまれてはじめての、一人前のごはんでした。 れいむがやがて、自分でごはんを食べられるようになったころ、ブリーダーお兄さんが久しぶりに逢いに来てくれました。 お兄さんは口を開くなり、こういいました。 「はくれいむに会う気はないか?」 手術をしてからいっぺんもあっていない、れいむの妹。 「あいつ、もう危ないんだよ」 お兄さんは別に哀しそうでもなく、淡々とした口調で言いました。 れいむが連れて行かれた部屋には、おちびちゃん用の箱が置かれていました。傍にはもうれいむからはとっくに抜かれた、オレンジジュースを一滴ずつ垂らすチューブが置いてありました。 れいむが箱の中を覗くと、そこには、黒く干からびかけた、腐りかけのみかんのようなものが入っていました。 「ゆ゛……」 それが、はくれいむのはずでした。 誰よりもきれいな、天使のような、れいむの妹の、はずでした。 「……はくれいむ?」 「ゆ゛…ゆ゛……」 れいむが呼びかけると、腐りかけのみかんは、もぞもぞと少しだけ動きました。 ぽっかりとあいた口の中には、歯が一本もありませんでした。髪はすべて抜けていました。色違いだったきれいなおめめは、なくなっていました。 れいむは思いました。 いったい、これは何の冗談なんだろうと。 箱の中で死んでいこうとしているのは、まともにものを食べることも出来ず、みにくく干からびて、みすぼらしい姿のれいむ。 紛れもなく、いままで生まれてからずっと鏡で見続けてきていた、れいむ、自身でした。 お兄さんが箱の傍にしゃがみ、手を伸ばして撫でてやると、しなびたまんじゅうは、小さな声で鳴きました。お兄さんはずっと、箱の中のゆっくりを見つめていました。お兄さんが何を考えているのか、れいむには分かりませんでした。自分が何を考えているのかも、分かりませんでした。 次の日、はくれいむは、死にました。 れいむはその後、栄養のあるものをたくさん食べ、お医者の指導に従って運動もし、どんどん元気になりました。 やがて体が変化を迎え、れいむは胴付きれいむへと姿を変えていました。髪は真っ白で、眼の色は左右でちがっていました。はくれいむとれいむは、ひとつの餡子を分け合ったゆっくりでした。れいむもまた、ちゃんと栄養を得て成長すれば、妹と同じ姿になる素養を持っていたのです。 れいむは、バッジ習得のために、たくさん勉強をしました。 元から賢いれいむには、さほど苦になることではありませんでした。 そして、れいむが金バッチを取得し、さらにプラチナバッジを取得する目処がたったころ、ブリーダーお兄さんは始めて、れいむを展示会に出すことを決めました。 アルビノ胴付れいむのオッドアイ。 パンフレットには、そう書かれました。 お屋敷にとどいたパンフレットを見たれいむは、お兄さんにていねいに頼んで、一冊別けてもらいました。 その晩、れいむは眠ることもできず、一晩中パンフレットを見つめていました。 そこには、世にも美しい、一匹の希少種ゆっくりがうつっていました。 髪は砂糖の真っ白で、絹のようにつやつやと輝いています。 肌はもちもちとやわらかく、まるで羽二重餅のよう。 眼は、片方が赤で、もう片方は薄い銀色でした。実は銀色のほうの眼は、ものが見えないのです。 れいむが、とてもよく知っているゆっくりでした。 れいむはパンフレットを閉じ、壁にかけられた鏡を見ました。 生まれたときからひと時も離れず、憎み続け、疎み続け、誰よりも妬み、愛していた、妹のはくれいむが、そこにいました。 永遠にゆっくりしてしまった、あの干からびたゆっくりは、誰だったんだろう。 この鏡に映っているゆっくりは、いったい、誰なんだろう。 れいむは、ひとりで歌いました。おかあさんから教わった歌を。はくれいむに、毎日うたってやった歌を。 「ゆ~、ゆゆ~、ゆ~♪ おちびちゃんは~ おねえちゃんの~♪」 部屋の中はしいんとしていて、れいむの声だけがきこえてきます。 「あまあまさん~ とってもゆっくり~ できるんだ… よ…」 れいむは歌いました。誰も聞いていなかったけれど、ずっとずっと、歌いつづけました。 れいむは、歌いながら、泣きました。
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なぜひらがなにしたかと言うと、前作と現在で、表現が、違うからだ。 前作では、博麗靈夢だったが、秋霜玉から、博麗霊夢になった。分かりにくいが、霊夢の霊の、下の部分が、人から変わっている。 情報お願いします。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/979.html
「…好奇心、それはイカス。この世の理は論を持たず」 「忠義、果たして何ぞや。大儀であろうと、そこに忠誠はあるのか」 二本脇差腰におび 軽い調子で歩を進める やれ後ろには離れた人里 もう戻れはしない、かつての忠義 「…忠義とは、何ぞや。れいむは、れいむに忠義を打ち立てみせよう!」 一人野を跳ね進むれいむ その足取りは、どこやらへ… れいむ侍は今日も往く きっかけはたわいない物であった 「そち。妾は腹が減った。そこのこんびにで雪見大福を買って来ておくれ。あ、あとじゃんぷもお願い。顔のメイクも落としたいなあ、追加でソフティモ買ってきて~」 「…了知つかまつりました」 嫌気がさしたのさ いつまでも変わらぬ常日常、姫の世話 戦が無いため鍛練も意味がなく、一定の給料では日に日に生活に苦しむばかりでねぇ ただでさえ嫌気が差しているのに、肝心の殿は女遊びに励むのみ 忠誠もへったくれもあったものかね! 「れいむ、ふと考える! 果たして忠義は永遠なるものか? 忠義、その時は打ち立てても、いずれは変わるものではないか? …そこに、忠誠は無い!」 見付かってしまえば御用改めになる考えを持つれいむ 次第に仲間内からも嫌われて一歩疎遠になったのさ それに伴い、現状を疑問にすら持たない他の武士に飽きれるれいむ ついにれいむは藩から脱け出した! 「何故誰も疑問に思わん! 忠烈申し上げ? そんなもの撤回だ!」 しかし、れいむは根っからの武士であるため、いやいやこれが誠に武士でね 砕けて言やぁ戦の時代の武士さね おつむに知恵が回らない 土地も失い、早速無一文で野に転がり野宿するれいむ 一人の饅頭が現れたのさ 「れいむったら、本当にうつけ者なんだから! なんで思い付きで、先を考えず行動するのかしら。せめて貯金してから謀反なりなんなり起こしなさいよ」 現れたのは姫であった 「いい? 言っておくけど、れいむの生活費が足りなくなるのは決して一定の給料だからではなく無駄遣いするからよ?」 「かたじけない…」 姫に言い寄られ、言葉を失うれいむ侍 おやおや立場が低いねぇ ふと、脳裏に疑問がよぎる 何故姫はれいむの所へ? 果たして姫は脱け出したのか? おつむの弱いれいむでも、その疑問には気付いたみたいさね 「いやー、外の空気は良いわねっ! たまにしか外に出られないものだから新鮮でさ。 …うかうかしてると追手が来るわね。れいむ! 先を急ぎましょう!」 姫は何も言わずれいむを引っ張って進んで行くさね 面喰らったれいむはそらあもう堪ったもんじゃ無い、同時になんだか安心したような顔付きも見せて姫に問掛けたのさ 全く、素直じゃないんだから 「…姫!? 一体、何事を申され」 「そんな堅苦しい言葉を使わなくていいわよっ、私も使って無いし! ほら、のろま! 今は夜で国境の砦の警備も厳しいだろうし、砦を通らないで行くわよ!」 「行くとは、何処へ」 れいむの言葉にずるりと力が抜ける姫 怒りつつもれいむに説明する 膨らませてる頬が可愛いねえ 「んもうっ! れいむは今の武士の現状に嫌気が差しているのでしょう? なら、談判を起こせばいいじゃないっ!」 「だん…、ぱん…?」 「そうよ、直談判! 幕府に一言申すのよ、現状の武士はおかしいって!」 「しかし、」 「もうっ! あなたの武士に対する思いはそんなものなの!? 私はね、『急がば回れ』って言葉より『善は急げ』って言葉の方が好きなの! さあっ、行きましょうれいむ! さっさと国境を越えるよっ!」 意外に知識を持った姫に感心しつつ、勢いに圧されるがままついていくれいむ侍 まるで尻に敷かれる夫の様で、みっともないったらありゃしない 「そんな、横暴な」 「妾はそちが好きじゃ! 幼き頃から側に居てくれて、そちが居ない生活なんて想像に出来ん!」 「!」 「…この、喋り方の方がいいんでしょ?」 「…この旅は、れいむの一人旅でございます! 勝手についてくるのは自由ですが、忠誠を誓ったりなぞは致しません!」 「ええ、だから私がれいむに忠義を誓うの。忠烈申し上げるわ、れいむ」 「…、勝手に。れいむはただ己を行くのみです」 おお、粋だねえ 青春だねえ いくら鈍感なれいむでもおなご一人の仁情には気遣う れいむの頬は夕焼けの様に よよいと二人 夜を駆けていくってね 「しかし、砦を越えるとはどうやって? 陸路だと全てに砦がありますが…」 「ふふん。リサーチ済みの私に隙は無いわ。ずばり、船に乗り込むの!」 「船?」 「ええ。私達の藩は江戸より南、幸い海に面する所にあるからね。近くの港から船を出して、私達の藩の国境を抜けさえすればあとはこっちのものよ」 「…姫。姫は外出が禁じられているのに、何故その様な知識を?」 「学んだのよ、地図で。全く、れいむ以外の授業は面白くもなんともないんだから!」 「申し訳無い、地図とは…?」 「…れいむは良く武士に成れたわね、いや。れいむの家系は根っからの武士だったわね、失礼」 駆け跳ねつつそっぽを向き笑いを堪える素振りを見せる姫 これにはむっときたかれいむ 胸の内を素直に明かす いやいやしかし、馬鹿だねえ… 「姫。なんで笑うんですか?」 「いや、だって。あなた、家の人も、親族も皆武士でしょ? なら、武士の世界観しか無いはずじゃない! なのに、れいむはその世界観に疑問を持っている」 「…?」 「うつけね。一つの視界からしか見えないはずなのに、れいむは複数の視界が見えてるってこと。まあ、あまりいいことでは無いけどね」 「…お誉めに預かり、光栄でつかいまつる」 「あら。私の口ぶりから、なんで誉め言葉だと思ったの?」 「お誉め頂けるものと、確信しております故」 「…調子いいこと言っちゃって。れいむがずっと武士で落ちこぼれずに済んだ理由は、その直感にあるのかもね。 まあ、今のは理由の1割。9割はほんっと、エスカレーター式に上がって来たわよね、れいむ! 武士なのにそんなうつけだなんて、学勉教えて貰わなかったの?」 「…」 やはりむっと来たれいむは姫に言葉も返さずただ黙々と跳ねて行く 嫉妬とはみっともないさね もっと強く生きなれいむ! その様子もおかしいのかケラケラ笑いながられいむの後を追い掛ける姫 やがて二人は港についた 夜の海のせせらぎが二人を包む 薄暗い海のみが二人の世界さね 「…潮臭いわね、ムードもへちまもありゃしないわ。さっ、早いところ出発しましょうれいむ!」 「は、はあ。しかし、姫の知人というか、用意した船とやらは何処に」 おやおや、二人にはお気に召さなかったようでして まあ、あっしもこの臭さには堪りかねますさね …ほう、もう終盤か ぼちぼちあっしも真面目に仕事しますかね 「んー? …はっはーん。さては、勘違いしているわねれいむ。用意なんかしてないわよ」 「…と、申されますと?」 「分かってる癖にぃ♪ 盗むのよっ!」 少し歩いた先にはぷらぷらと停留所の紐に結われている船が 乗り出す姫 しぶしぶながらにれいむも乗る 乗った事を確認し、満足に頬を綻ばせる姫 れいむは脇差を器用に口に加え とめるための紐を断ち切り船は静かに沖に動き始める 「さあっ、出港よ! かいを持って、れいむ! 遠慮しないで船を漕いでいいのよ?」 「…姫。ご自分で漕がれる気、ありませんね」 「もちろん!」 「…はあ。忠義に異議を企てるれいむに、その様なものを期待したのが間違いでした。そんな美味しい話は無いですもんね、お供しますよっ」 かいを口に加え、ぎーこぎーこと少しずつ前に進んで行く小さな船 船の行く当ても分からぬまま ただ二人は波に揺られてどこまでも… 今日も今日とてれいむ侍 風に吹かれて何処に行く、…ってね 「…そういえば、何故幕府に申すのか、いまいちピンと来ないのですが」 「単純よ。今の忠誠忠義が、幕府によって決められた偽りのものだからよ。謀反を起こさせないための政策なんでしょう、だからこそ談判を起こすのよ」 「…知らな、かった」 「…まあ、下町では有名だけど、武士だからこそ届かない情報だもん。…そうだ。れいむ、最近よく無駄遣い、買っている浮世絵あるじゃない?」 「はっ。まっこと庶民の心に触れているというか、独特のわびさびしさ、何よりも世界で一枚しか無いという一期一会の趣きがなんとも…。 …決して無駄遣いではありませぬ! 今ここで買わないとその作品に二度と会えぬが故仕方なく…!」 「あれ、印刷って技術で何枚でも複製出来るの。ありふれてるわ」 「…へっへっへ。…え?」 「どこの悪人よ、何も始まらないわ。いつしか、一気に10枚くらい買ってきた事があったよね。嬉々に私に告げるれいむに、言おうと思ったんだけど。…気の毒でね。 今は、持って来て無いんだろう? だからね」 「…いや、それはいただけません! 今時流行りのえいぷりるふーるという奴でしょう、騙されませんぞ! 撤回を要求します! 店主が、世界で一枚だけだと…!」 「じゃあ、店主に嘘を付かれたのでしょう。れいむの真っ直ぐな性格を見抜いてね」 「…知らな、かった」 「…」 さっぱり行動力だけのれいむと、世界情景に詳しい姫 姫がぐいぐい引っ張りゃあ悩みも無いってもんなんだが 生憎一枚目はれいむでねえ 大丈夫かねえ、不安だねぇ… 北へ北へと てくてく、てくてく れいむ侍とお姫様 疲れの色は見えて来たけれど 二人一緒なら苦では無い 十里の道もなんのその 諸行無常の旅は続く 「れいむ、もう足が棒でござる…」 「もうっ、れいむにそもそも足だなんて高尚なもの付いて無いじゃない! 峠まで登れば間食屋があるだろうし、そこまで歩く歩く! …ほら、見えた!」 『都、江戸よっ!』 …二人は都にまで辿り着いたみたいですぜ れいむ侍は今日も往く 名前 コメント
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れいむ讃歌 駄文です 今回もジョジョパロが 最近、家の金バッチのちぇんの様子が変だ。どうやら近くの公園に住み着いている野良に餌を与えているようだ。ちぇんに一回その理由を尋ねたら 「れいむはすごいんだよ~。わかってね~。」と言われた。 これだけの内容じゃ状況が把握できないが、どうやら脅されているわけじゃないのはわかった。だったらどうして厳しい訓練を受けた金バッチのちぇんが野良と関わり合うんだろう…? このことを同じく金バッチのみょんを飼っている知り合いに相談したところ、 「お前のとこのちぇんもか。」 「俺のところのも…?」 「ああ…。うちのみょんもそうだが、ここらの金バッチの一部がその野良れいむに貢いでるみたいなんだ。」 「何で野良なんかに…。」 「お前どうせ暇だろ?明日にでもそのれいむが何者なのか調べてみてくれよ。」 「暇なことは否定はせんが、何かイラッとくる言い方だな…。」 こうして俺は、次の日その野良れいむが居るという公園まで足を運んだ。ちぇんの方は悪い影響があるかもしれないので家においてきた。 こじんまりとした公園には、小さな子や年寄りがちらほら居た。最悪野良れいむを始末するときは、目に付かないようにしよう。 ちぇんの話では、お目当ての野良れいむは、公園の隅にダンボールとブルーシートで野良としてはなかなかの家を作っているらしい。 「れいむゆっくりしていってねっ!これはすごくゆっくりできるあまあまだよ!!」と、言う声が聞こえたので、そちらの方に行ってみると金バッチのまりさが明らかに野良とわかるれいむにお菓子をあげていた。 お菓子を貰ったれいむはと言うと、「ゆふ~!ゆっくりできそうなあまあまだね!!ほめてつかわすよ!!」「ちゃちゅがれーみゅのおかーちゃんじゃね。」「「きゃわいきゅっちぇ、ぎょめんにぇー☆」」と、かなり上から目線でまりさに接していた。 「こいつが噂のれいむか…しかし子持ちとは聞いてなかたぞ。まあ、だからなんだって話なんだが…。」そんな独り言を言いながら俺は、少し離れたところから様子を見ていた。 観察してみてわかったことは、こいつがしんぐるまざーで子れいむが3匹、餌を持ってくるゆっくりはすべて金バッチだということだった。俺は、他のゆっくりが居なくなった事を確認してから野良れいむにファーストコンタクトをとった。 「やあれいむ。ゆっくりしていってね。」 「「「ゆゆっゆっくりしていってねっ!!」」」 「ちょっとれいむに聞きたいことがあるんだが…。」 「しょんにゃこちょよりにんげんはあまあまよこちぇ~!!」 「よこちぇ~♪」「あまあま、あまあま♪」 クッ、この糞赤ゆ共ぶっ潰してやろうか!!そう思っていると親のほうが、「そんなことよりにんげんさんは、にーとなの?にーとじゃないの?どっちなの?」と言ってきた。 (よし、潰そう。)その言葉に切れた俺は強い口調で、「ハァ~?てめえみたいな糞饅頭には、関係ねぇだろうがッ!!」と踏み潰そうとして足を上げるたすると、 「にーとじゃないなら、かえってねっ!にーといがいは、きょうみないよっ!!」言ってきた。 (あれ?こいつ俺を馬鹿にしたんじゃないの?と言うよりニートには用があるの?) 少し頭が冷めた俺はれいむに合わせて「うん。俺はニートだよ。だからちょっと話を聞かせてもらいたいんだが……」自分で言っといて悲しくなってきた。 「ゆ?にんげんさはにーとなの?なら、れいむにあまあまもってきてね!!これはめいれいだよっ!!」と言ってきた。 少し腹が立つが俺は、「何でニートだとれいむにあまあまを持ってこなくっちゃならないの?」と聞いた。 すると「ゆぷぷ!にんげんさんは、ばかだね!でもれいむはやさしいからおしえてあげるよっ!!れいむはにーとのかみさまなんだよ!!しんぐるまざーで、こどもをそだてないといけないのに、はたらかないんだよっ!!すごいんだよっ!!」 (…ある意味すごいが、しかし何でそんな事でこんない威張れるんだ?)そう思っているとさらにれいむは話を続けた。 「れいむさんかは、にーとのさんかっ!!れいむのすばらしさは、しんぐるまざーのすばらしさなんだよっ!!わかったらさっさともってきてね!!これでもわからないなら、しんぐるまざーおーばーどらいぶっをやっちゃうよ!!」 しんぐるまざーおーばどらいぶ~?その言葉に興味を持った俺は、「いいぞ。それやってみろよ!!おもしろかったらあまあまでも何でも持ってきてやるよっ!!」 「ゆっふっふっ、ばかだねにんげんさん。このわざは、れいむのいだいなきおくを、にんげんさんにみせるわざだよっ!!それをみればにんげんさんも、れいむのいだいさにひれふすよっ!!」 そう言ってれいむは俺の足元までやって来て、のーびのーびしたり、もみあげをぐるぐる回し始めた。 「ユーハーユーハーユコオオオォォォォ」 「何だそれ?」 「おーばーどらいぶっのためのとくべつなこきゅうほうだよっ!!かんたんにせつめいすればこきゅうであんこに、はもんをおこしているんだよっ!!」 そしてれいむは、もみあげを大きく振りかぶって、「ふるえるよ あんこっ!!あきれるほど にーーと!!きざむよ しんぐるまざーのびーと!!」 『しんぐるまざーおーばーどらいぶっ!!』 そう言って俺の脛に向かってもみあげで殴りつけてきた。すると本当にれいむの今までの記憶が流れ込んできた。 「ゆっふっふ…これで、れいむのいだいさがわかったね。みつぎものは、あまあまたくさんでいいよっ!!」 俺はすべてを理解した。なぜ金バッチの飼いゆっくりがこいつに餌を上げるのかを…。 こいつはゲスだ。どす黒いほどのゲスだ。しかし役に立つゲスだった。 こいつは普通の野良のゆっくりの間に生まれた。 普通のゆっくりは植物型妊娠をして3日後には生れ落ちる。そして3ヶ月後には独り立ちするのだ。 こいつは、生まれ付いてのニートだった。他の姉妹が巣立ちをしても、実家に居座り親に餌を持ってこさせ続けた。 しかしそれも長くは続かなかった。みんなが巣立ってから1ヶ月たたずに、両親は永遠にゆっくりしてしまったのだ。 しかたがないのでれいむはつがいをさがした。しかし、れいむは自分を客観的に見るかとができた。だから普通の方法ではつがい(パラサイト先)を見つけることができない。 そこである事をれいむは閃いた。そしてれいむはその作戦をすぐに実施した。 なんと!れいむはれいぱーが居るという公園でまむまむを広げて横にになったのだ。そしてれいぱーに見つかってしまった。 「んほおおぉぉぉ!!とかいはなれいむね!!いいわ、ありすがとかいはなあいをあげるわ~~っ!!」 後は火を見るより明らか、れいむはれいぱーに襲われ妊娠してしまった。しかしそれこそがれいむの奇策だったのだ。 「もっととかいはなあいをあげるわ~!!れいむぅ~!!」そんなことを言っているれいぱーに対して「なにいっているの?そんなことをしたらあかちゃんがしんじゃうでしょ?ばかなの?しぬの?」 しかしれいぱーはそんな言葉を無視して「んもぉ~!れいむはつんでれね!そんなこといわなくっても、ありすはわかっているわよ~!」 その言葉を聞いてれいむは「なにいってるのッッ~~!!!!とかいはなあいで、できたあかちゃんなんだから、ふたりでそだてるのが、とかいはのやくめにきまっているでしょーーッ!!そんなこともわからないのッ!?ばかなのっ!?いなかものなのっ??」と烈火のごとくわめき散らした。 ありすは、かなり驚いた様子だった。無理もない、今まで襲った連中は、『やべでぇ~!!』とか『ずっぎりじだくない~っ!!』とかツンツンしていても本音は喜んでいると思っていた。 しかし、れいむの言葉にはツンデレの要素がないことは、れいぱーにもわかった。その上、とかい派な愛でできた子供なのだから2人で育てるのが、とかい派だと言うのも納得してしまった。だがれいぱーは一筋縄ではいかなかった。 「ありすには、ほかのこにもとかいはなあいをあげなるという、じゅうだいなしめいがあるんだから、あかちゃんはれいむひとりでそだてるべきよっ!」そう反論した。 「そんなのあかちゃんが、すだってからでもできるでしょーーっっ!!それともありすは、あいてにあかちゃんをおしつけるむせきにんないなかものなのっ!?」 れいぱーにかかわらずありす種の根源には、『とかい派』と言う狂信的なものがある。れいぱーはそれが『とかい派な愛』に変わっただけで基本的には同じである。 いくられいむの罠だったとしても、れいむの言ってる事は大体あってるとありすも思っているので反論ができない。そもそも、田舎者という言葉は、聞き捨てならない。 「ゆぐぐぐぐっ!!」と、唸ったありすはしかたなくとかい派のプライドのためにれいむのつがいになった。 それから3ヶ月間れいぱーにとっては地獄だった。子供は全部れいむ種でかわいいとも思えないし、子育てで忙しいといって、自分は何もせずに、ありすにご飯からお家の確保、うんうんの片付けもさせた。 そして3ヵ月後 「「「「「おかーさん!おとーさん!れいむたちは、すだちするよっ!いままでそだててくれてありがとう!!」」」」」 ありすのぺにぺにはギンギンに起っていた。こいつらが居なくなったら、すぐにでもれいむを捨てて、他のゆっくりにとかい派な愛を与えに行こうと思っていた。 そして子供が巣立ち、れいむとありすしか居なくなった家で、れいむに別れを告げようと思って、口を開いた瞬間…。 「れいむ!!ありすは、とかいはなぎむをおえたから、このいえからでt「そんなこといいから、はやくまたあかちゃんつくってねっ!!」 そう言ってれいむはありすにまむまむを見せた。その瞬間ありすの中で何かが壊れた。この3ヶ月の悪夢が走馬灯のように頭をよぎったのだ。 さっきまでビンビンだったぺにぺにはふにゃふにゃ萎え、ありす自身もプルプル振るえ変な液体を体中から出している。 「すっきりはとかいはじゃないわ~~~っ!!!!」 そう言ってありすは家を飛び出した。もうありすはレイプすることができない。この事が原因でEDになってしまったのだ。 ━ありすは━ 2度とれいぱーには戻れなかった…。 とかい派と田舎ものの中間のゆっくりになり 永遠に町をさまようのだ。 そして すっきりーしたいと思ってもすっきりーできないので ━そのうちありすは ゆっくりするのをやめた。 「ゆふぅ~!!しょせんれいぱーだね!!でも、れいむはやさしいからゆるしてあげるよっ!!またあたらしいれいぱーを、みつけるだけだからねっ!!」 こうして、れいむはれいぱーにパラサイトしては、れいぱーを再起不能にする。恐怖のれいぱー食いになった。 このれいむの恐ろしいところは、妊娠した子供がすべてれいむ種の上、れいぱーにパラサイトする方法をちゃんと子育てで教えていたのだ。 今まで人間がいくらがんばっても出来なかったれいぱーの絶滅をこのれいむは出来るだろう。人間が最大の難関としていた繁殖力も同じゆっくりのうえ、妊娠する子供すべてれいむ種に出来るという力を持っているのでれいむの方が有利だ。 しかも、子供にありす種が居ないので、れいむの恐怖を餡子を通じて受け継ぐことが出来ないので、100%引っ掛かる。 「だから、金バッチたちはれいぱーを絶滅させることが出来るこのれいむに餌をあげていたのか~。」 れいむは自分がいかに可哀想かみせつけてるつもりだが、頭のいい金バッチたちは、れいむがしている事は自分たちを、身を挺して守っているように思えたようだ。 『さすがれいむ!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ そこにシビれはするが!あこがれないィ!』見たいな事を考えていたんだろうなぁ~。 ちなみにれいむの記憶によると、今シングルマザーなのは、前のありすが、ストレスに耐え切れず、すぐに死んでしまったからである。 「さっさとあまあまよこしてね!!きこえないの?ばかなの?」 俺はポケットから飴玉を出しれいむたちの方に投げた。 「ゆゆ~ん♪それでいいんだよ!こんどくるときは、もっともってきてねっ!!」 俺はれいむたちに何もせずに帰ることにした。確か自分の事しか考えないゲスだがみんなのやくにたっているのだから…・ 帰り道で「ああ言うのを、『ひつようあく』って、言うのかなぁ~。」そうポツリとつぶやいた。 おわり
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・三作目です ・加工所本部のれいむまりさのその後が見てみたいというコメントがあったので。そのネタは思いつかなかった・・・! ・テンプレって意味何?まじでわかりません。 ・子育て室で金バッチ獲ったれいむの話です。 ・加工所本部の続きみたいなの 麦茶あき(仮) れいむその後 れいむです。金バッチのゆっくりです。 れいむはお姉さんの下で飼いゆっくりになるため必死にお勉強しました。 人間さんのこと、他のゆっくりのこと、食事の作法、野良ゆっくりのこと、沢山お勉強しました。 そのかいあってれいむは金バッチになりました。 お勉強友達のまりさといっしょにバッチさんが獲れたことを喜びました。 でも、他の友達はバッチさんは「ほりゅう」だそうです。 れいむはそのことでかなしくなりました。 みんなで金バッチさんを獲りたかった。 けど考えてるうちにショップさんに売られました。 お姉さんはいい飼い主さんに会えるといいねと言ってくれました。 だかられいむはここにいます。 飼いゆっくりでいます。 そしたら・・・・みんなに会えるかな・・・ れいむはペットショップにいた。 一緒にバッチさんを獲ったまりさはすぐに飼い主が決まり飼われていった。 別れるときに「れいむ・・・ゆっくりしていってね!」と挨拶をしてくれた。 れいむに飼い主はまだいない。今もペットショップだった。 そんな毎日が続いた。。 でもれいむは寂しくなかった。、ここには部屋は別々だけど他のゆっくりがいたからだった。 銀バッチのちょっと口の悪いまりさ。 「まったく・・・・まりさの飼い主さんはいつになったらあらわれるのぜ??」 ときどき部屋から変な声が聞こえる金バッチのありす。 「・・・・すっきりーしたいわ・・」 わかるよーが口癖の銅バッチのちぇん。 「わかるよー」 ちーんぽ!と元気に挨拶してくれる銀バッチのみょん。 「ちーんぽ!」 部屋は遠いけどゲス体質駄々漏れのでいぶ。 「おい!どれい!!れいむにあまあまよこせ!!!」 そして店員のお兄さんがいた。 「うっせえ!!たった20円の超安物でいぶが!!」 「どぼじでそんなこというのおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 だかられいむは寂しくなかった。 だが、そんなれいむにも飼い主が現れました。 れいむはペットショップみんなと別れるのは寂しかったけどみんなとはどこかで会える気がしたので寂しさがなくなりました。 れいむは今日からこの飼い主と一緒に暮らしていきます。 「じゃあ、れいむ。俺会社行って来るわ」 「ゆっくりいってらっしゃい!」 お兄さんは朝早く出かけていきます。会社というところにお仕事に行くからです。 れいむは朝、お掃除して、洗濯物を畳みます。 お昼はまどのそばで日向ぼっこか、テレビを見ています。 お兄さんは夕方まで帰ってきません。時々残業があって夜に帰ってきます。 れいむはその時が一番寂しいかった。 「ゆう・・・」 けど、れいむはお兄さんが帰ってきたときに精一杯「ゆっくりおかえりなさい!」をします。 お兄さんは「ただいま」とちゃんとお返事を返してくれます。 そんな疲れたお兄さんにれいむはバックさんを持ってあげたり、マッサージさんをしたりします。 特にマッサージさんをしているお兄さんの表情はとてもゆっくりしていました。 「あ~気持ちい~」「ゆ~んすごくこってるよ」 お兄さんがいるからやっぱりれいむは寂しくありません。 ある日お兄さんが出張に出かけるといいました。 三週間家には戻ってこれないそうです。 れいむはお兄さんのお友達の家に預けられることになりました。 「れいむ、僕もゆっくりを飼っているんだ。その子と仲良くしてやってな」 お兄さんのお友達はれいむに自分の飼いゆっくりを見せてくれました。 そこにいたのは、ショップさんにいた銅バッチのちぇんだった。 「にゃ?!泊まりにくるゆっくりってれいむのことだったんだねー」 「ゆゆ??!ちぇん久しぶり!!」 「あれ?お前ら知り合い??」 れいむはお兄さんのお友達にショップさんにいたころの話をしたら、お兄さんは嬉しそうだった。 「いやあ、うちのちぇんと馴染めるかなって心配だったけどまさか同じショップ仲間だったとは」 「わかるよーちぇんはれいむとまたあえてうれしいんだよー」 その三週間れいむはは寂しくなかった。 ちぇんと遊んだり、お話したりした。 ちぇんは銀バッチのみょんが近所のお姉さんに飼われていることをれいむに話した。他のみんなも無事飼われていったそうだ。 「みょんとはときどきあそんだりするんだよー」 れいむはその言葉にチクッっとしました。 何故ならお兄さんが帰ってくればこの生活は元に戻るから。ちぇんはれいむがいなくてもみょんが遊びに来るからだ。 れいむはそれが嫌になりました。 お兄さんが出張さんから帰ってきた。 お兄さんのお友達さんと何か話してましたが、れいむには聞こえなかった。 お兄さんは今日は休みだから家にいました。 れいむはちょっとだけわがままを言いました。それは外へ遊びたいといったのです。 お兄さんは何か考えた後お外へ連れてってくれました。 お兄さんは公園さんに連れてってくれました。そこには沢山の飼いゆっくりがいました。 そこにはちぇんとみょんがいました。れいむは二人と思いっきり遊びました。 その日はとても楽しかったです。 家に帰ったその日お兄さんは玄関が騒がしいと様子を見に行きましたが、すぐ戻ってきました。 「お兄さんどうしたの??」 「気にすんな野良ゆっくりを追い払っただけだ」 「?」 れいむのその後はいつも通りだった。 お兄さんは最近残業が多くて帰るのが遅いです。 お兄さんは休みの日以外家にはいません。 れいむはその日が来るまで我慢してました。 でも最近お兄さんの調子が良くないみたいです。 れいむはなんとか励ましたりしましたが「ありがと、れいむ」とまだ良くなってない顔で言いました。 なんだか最初にれいむと会った頃に似ている。 つらそうな顔ばかり・・・・ れいむは思いました。 一番寂しいのはお兄さんじゃないのか? お兄さんはれいむが来るまでずっと一人暮らしだった。 家に帰れば誰もいない。でも今はれいむがいる。 お兄さんは寂しかったかられいむを飼ったのではないか? そう思うとれいむは自分が恥ずかしくなりました。 家にいないからといって寂しさを感じていた自分を恥じました。 本当に寂しかったのはお兄さんじゃないかと今ここに気づきました。 れいむはもうわがままを言わないと心に誓った。 だが、今日もお兄さんが帰ってくるのが遅いのです。 残業があるのでしょう。 れいむはお兄さんが帰ってくるのを待ちました。 しかし、お兄さんは中々帰ってきません。 れいむは心配になりましたがお兄さんは帰ってくると信じてます。 でもれいむはなんだか眠くなってきました。 お兄さんに「おかえりなさい」って言わなきゃいけないのに・・・ お兄さんに「おかえりなさい」って言わなければ。 今日の俺は散々だった。 部長に書類ミスで叱られるわ、コピー機につまずくわ、帰りの電車に乗り遅れるわで散々だった。 家へ帰るとれいむがいるはずだ。今日は随分遅くなったし、アイツはもう寝てるはずだ。 だが最近になって思うことがある。 れいむを別の人に飼わせてみないかと思うようになった。 そのきっかけは外に連れ出した時だ。外にいたアイツは家にいた時よりもずっと生き生きしていた。 俺なんかより、別の人に飼われてるほうがアイツの幸せなんじゃないか?と思ってきた。 もし飼われるなら俺の友達のほうがいいだろう。アイツちぇんと仲良しだったからな・・・ そんなこと思いながら俺は家へ着いた。 「ただいま・・・ん?」 家に着いたが返事は返ってこなかったがその代わりれいむが玄関で寝ていた。こいつこんなとこで寝やがって・・・ 俺はれいむをベットに連れ込もうとしたとき床にチラシが落ちてたのに気づいた。 部屋はれいむが綺麗にしたはずなのに何故こんなところにチラシがと拾ったら、そこにはこう書かれていた。 お兄さん―おかえりなさい そう書かれていた。アイツは自分が眠るかもしれないからチラシの裏に文字を書いたんだな。 だけど、俺はその後に続く文字に気づいた。 ずっとそばにいるからね。 れいむ 俺は 自然と涙を流していた。 何故だか知らないけど自分の心にかかっていた何かが晴れたような気がした。 涙は止まることはなかった。 だけど、嬉しかった。 こんな一言だけど嬉しかった。 けどコイツ・・・こんな下手な文字書きやがって・・・・もっとうまく書けよ。 俺はれいむをベットに寝かしてそっと呟いた。 「ただいま、れいむ」 なんかれいむの顔がうれしそうだった。 れいむです。 最近お兄さんが元気になった気がします。 帰ってきたられいむと遊んでくれてす~りす~りしてくれます。 休みの日も公園へ連れてってくれます。なんだかれいむもお兄さんも幸せな気分です。 あの夜は思わず寝ちゃいそうだったのでチラシさんにとりあえず「おかえりなさい」と書いた。 その時お勉強を教えてくれたお姉さんの言葉を思い出した。 『おねえさん。れいむかいぬしさんになんていえばいいのかな?』 『飼われるのはまだでしょれいむ。早とちりね』 『ゆうぅ・・・ごめんなさい』 『でもとっておきの言葉を教えてあげる』 『?』 『そばにいてあげる』 『それだけ?』 『そう、それだけ。単純だけど、とっても重要。誰だって寂しいのは嫌でしょう?』 『ゆ~ん・・・ゆっくりできないよ』 『だから大切な人が寂しがってたらその言葉を言ってあげてね』 『ゆっくりりかいしたよ!!』 あの時教えてもらった言葉をチラシさんに書いたけどお兄さん気づいてくれたかな? 俺はこのれいむを改めて飼う事にした。 アイツが書いてくれたあの一言。今ではあれが俺の活力の源だ。 休みの日は家にいなかった分遊んでやってる。 最近は仕事のほうもうまくいってる。 だけど俺にとって重要なのはコイツといることだ。 今じゃ、かけがえのない存在になっている。 俺はれいむにしてやれることはこの位だがそれでもよかった。 だって、家へ帰ればれいむがいる。一人じゃない。 れいむだって一人じゃない、俺がいる。 いつだってそばにいてやる。だから・・・・ 「れいむ!ゆっくりしていってね!!!」 「ゆ!ゆっくりしていってね!!!」 いつまでもそばにいてくれ いつまでもそばにいるよ・・・! 『ふーーーーん・・・あのれいむは無事飼い主と住んでるみたいだな』 その様子を遠めから見ていたものがいた。 『まあ、よかったな。捨てられずによ』 「そこのじじいとまるのぜええ!!」 『ん?』 そこには口にどこからか拾ってきたナイフを咥えてたまりさがいた。 「けがをしたくなかったらたべものをよこすんだぜえ!!いますぐだぜ!」 『・・・・・・・・』 男は無言だったが、そのまりさを見てにやりと笑った。 「な・・・・なんだぜ・・??!ゆ・?!ゆわああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」 まりさはその男に連れてかれた。その男には所長というプレートがつけられてた。 あとがき 二次裏見てコメント書いてくれた人が沢山いました。 なんか色々申し訳ございません。 希少種のことで論議になっちゃったりしてましたね全部麦が悪いんです。麦が悪いんですよ。 あの加工所本部ではある特殊な繁殖方法で希少種を大量生産できましたここまではいいです。その後の説明不足がいけなかったですね・・・(反省) その繁殖方法はちと言えません。繁殖部にいた希少種たちは全部食用にいくので基本ペットショップにいったりはしません。だから希少種の価値変わらず。 お菓子も希少種を使ってることは伏せてあります。情報統制ってやつです。 加工所の職員はそのことを絶対に世間に教えません。高い給料もらってるし。 でも情報を流そうとしたものは本部の刺客に消されます。あの二人もその対象ですが、そのことはあの二人は話したりしません。 情報も流れる前に全て消されます。 あんなにでかい加工所なんだからそれぐらいの設備はあります(スパコンとか) ちなみにあの二人は本部で働くことになります。その話も書く予定です。 麦は何かを伝えるのが下手くそなんだ。そこを上達しなければ・・・ 友人「よかったな二次裏で罵倒されて」 「罵倒ばっかじゃなかったでしょおおおお??!!」 友人「金ばっちのまりさどうなるの?」 「そのうちにまりさその後を書きます」 友人「そしてまた駄文になるわけか。がんばれよ」 「なんでそうなるのおおおおお」 友人「最後のアレ何?」 「そのうち話します」 友人「テンプレの意味しらんの?」 「はい」 友人「・・・・・だめだこいつ」 「ドスれいむの話書いていいですか?」 友人「書けば?」 「文章がなんか薄い、もっと濃くしたほうがいいって言われた。解決策としてどうすればいい?」 友人「もっと腕にシルバー巻くとかry」 「無理」 友人「最後に質問。所長って何者??」 「秘密」 ↑この話は加工所本部(後編)を投稿した後の話で一部フィクションを含みます。 友人「あー、れいむがしあわせでまじ残念」 「どおしてそんなこというのおおおおおおおおおおおおおおおおおおお???!!」 おしまい
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※独自設定垂れ流し。 ※注意!ぺにまむすっきり大量。本当に大量。 ※餡子ンペ出展。 ※四十八手あき様の絵より多大なインスパイアをいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。 「ふぅ…。」 丘を登り終えると、お兄さんは汗を拭いて一息ついた。 研究一辺倒で篭りがちの彼には、ゆるい上り坂でもちょっときつい。 「さあて、ここにいるかな…。」 近くの村で彼が聞いたところ、小規模ながらここに群れがあるらしい。 その中に、私の目当てのゆっくりがいるといいのだが。お兄さんはそんなことを考えていた。 「おかされいむ」 必殺引篭り人 お兄さんが休んでいると、一匹のゆっくりれいむが通りかかった。 「ゆっくりしていってね!」 そのれいむに彼が声をかけると、 「…ゆ、ゆっくりしていってね!」 驚きながらも返事を返した。 「ちょっと聞きたいことがあるんだ。何もしないから話をさせてくれないか?」 「ゆっ!にんげんさん、おはなしってなに?」 彼には驚きだった。野生種だから警戒心が強いかと思っていたのだ。 「実はすごく母性の強いゆっくりを探しているんだ。」 「ゆー!それなられいむがそうだよ!れいむはむれのなかでいちばん『ぼせい』がつよいよ!」 れいむ種は母性(笑)が売りのゆっくりだ。まあそう答えるだろうな、とお兄さんは感じた。 「ただ強いだけじゃダメなんだ。すご~く強い、もうお母さんになるしかないっ!ってくらいの 強さじゃないと。」 「れいむはもうおかあさんになるしかないっ!くらいつよいぼせいだよ! むれのなかじゃ、れいむのぼせいにあやかりたいってゆっくりがいっぱいなんだから!」 ウソつけ。 お兄さんはつい本音を言いそうになった。が、ここはぐっとこらえてもう一度確認する。 「本当かい?じゃあ、すごく美ゆっくりなゆっくりまりさが 『れいむの赤ちゃんを産みたいんだぜ!』 とか言ったられいむはどうする?」 「ゆゆっ!?そんなのゆっくりしてないよ!あかちゃんをうむのはれいむのやくめだよ!」 「そのまりさがまむまむを開いて 『れいむのぺにぺにでおそらにとばしてほしんだぜ!』 って言ってきたら?」 口にしたら、さすがに鳥肌がたった。寒気のする発言をしてしまった。お兄さんは後悔する。 しかしれいむの返答はさらにおぞましかった。 「ゆーっ!そんなのまりさじゃないよ!まりさは、まりさはぺにぺにをぎんぎんにして れいむにおそいかかって、それでれいむのばーじんなひみつのはなぞののまむまむと いっせいいちだいのおおしょうぶを…。」 ごめんなさい。それ以上聞きたくありません。お兄さんは意識を強制パージしてしまう。 その後、れいむが5分以上も必死に訴え続けていたのだが、彼の意識は完全に現実から切り離されて おり、何も聞いていなかった。 5分後。 「…はっ!?そ、そうなのかー。すごくぼせいがつよいのかー。」 つい棒読みになってしまうお兄さん。なんだか変な口調になっていた。 「ゆゆゆ!!やっとわかってくれたの!?ゆっくりりかいしてね!」 れいむは必死だ。…そう、彼の求めているのは、こういうゆっくりなのだ。 「話を聞かせてくれてありがとう。お礼にこのあまあまをあげるよ。」 お兄さんはケースから一粒のお菓子を取り出した。 「あまあま!?ほしいよ!れいむ、あまあまたべたいよ!」 「じゃあ口を開けて。」 あーん、と開けた大口に放り込む。ぱああ、と喜びの顔になるれいむ。 彼はさらにケースから何粒か取り出して口に放り込んだ。そのたびにうれしそうな顔をする。 しかし、その顔もすぐに変わった。まぶたを重そうにしているれいむにさらにお菓子を食べさせると、 あっというまに眠ってしまう。 そう、どんなゆっくりも眠ってしまう魔法のお菓子。その名をラムネという。 お兄さんは眠り込んだゆっくりれいむをリュックサックに入れると、その場を後にした。 研究所に戻った彼は、さっそくゆっくりれいむの処置にかかった。 傍らには大量の栄養剤を投与し、さらに電気あんまを仕込んだ床の上で振動を与え続けている ゆっくりありすがいる。実はこのありす、れいぱーなのだ。 今このありすの頭の中には、ほかのゆっくりと『とかいはなあい』を交わすことしかない。 完全なるれいぱー状態だ。 お兄さんの研究は、このれいぱーの性質を逆転させられないか、というものである。 れいぱーありすの体液をほかのゆっくりに投与すれば、確かにそいつはれいぱーになる。 これは当然。では逆は? つまり、『犯されまくりたい』という状態、ニンフォマニア(女子色情症)なゆっくりは作れない のか、ということだ。 れいぱーありすの体液では『犯したい』という状態にしかならない。振動だけでは『すっきり』 すればすぐに元に戻ってしまう。 れいぱーのごとく無限に続く発情、それを実現させるにはどうすればいいか。 まずは無限の発情、これはれいぱーの体液を使う。 次に『犯されたい』という受け状態をどう確保するか、であるがこれには『母性(笑)』を使う ことにした。母性とはメスの気質が根底にある。より強力な母性を持つものは、それだけメス、 つまり『受けたい』という力が強いはずである。そのためにこのゆっくりれいむを捕まえたのだ。 (↓ここから下は気色悪いので読み飛ばしてくださって結構です↓) お兄さんはありすから体液を注射器で大量に取り出した。大量出餡にあたる行為だが、栄養剤の おかげでありすはぴんぴんしている。 次にこの体液を2つに分け、片方にラー油を混ぜる。下準備はこれで完了だ。 眠っているれいむにさらに数個のラムネを追加する。寝ていてももぐもぐと口を動かして食べる ほど、ゆっくりは甘味好きである。 れいむを振動盤にのせると、すぐにあごの下あたりにまむまむが見え始めた。 まずはれいぱーの体液をガラス棒にたっぷりと取り、まむまむに突っ込む。まむまむの内側に 大量の体液をしっかりと塗りこめていく。 その体液は不思議とよくなじむ。まむまむの内側はしっとりもちもちに変化していくばかりか、 体液をどんどんと吸い込みさらに妖しくてらてらと光っていく。 次に、まむまむの奥底にラー油添加の体液を落とす。数本のガラス棒でまむまむを開けば後は その中に落とすだけでいい。これで、いくらすっきりしてもラー油効果でにんっしんっは しない。 れいぱーの体液はなぜかすごく高性能で、痛みを感じさせない成分がある。 これとまぜることでラー油による痛みをれいむに感じさせずにひにん!が完了する。 あとはおでこのあたりにラー油添加体液をぬる。これで植物型にんっしんっもひにん!完了だ。 最後に体液をオレンジジュースで薄めたものをれいむの体のあちこちに注射しておいた。 仕込みは万全だ。 (↑ここまで。要するにれいむはすっごく改造されちゃいました。↑) 研究お兄さんは先ほどゆっくりれいむと出会った丘に戻った。いまだ眠り続けるれいむを草むらに 投げ込むとすぐに研究所に引き返す。 れいむにはリボンに高性能小型カメラ&マイクを仕込んである。これで研究所にいながられいむの 様子が観察できるわけだ。 そして研究お兄さんが見たもの。それはこのれいむの、世にもおぞましい転落のゆん生だった。 「ゆぴー…、ゆぴー…、…ゆ…?ゆっくりしていってねっ!」 元気に目覚めると、そこはいつもの丘だった。話していた人間もいない。 「ゆー?にんげんさん、かえっちゃったの?れいむ、ゆっくりねむっちゃったんだね!」 ついうっかり、などと考えているに違いない。眠らされて体を改造されたというのにのんきな事である。 そこに群れの仲間のまりさが通りかかった。 (ゆっ!あれはまりさ!…ゆー、まりさは本当に美ゆっくりだね!れいむ、およめさんになりたいっ!) などということを考えているのだが、口からもれた言葉は、 「まりさはびまりさだね!れいむ、まむまむがうずいてたまらないよ!」 大変に下品な内容だった。どういう餡子脳変換だろうか。もしかするとれいぱーの体液が中枢餡に 影響したのかもしれない。モニターを見つめる研究お兄さんは思った。 「ゆっ!れいむ!ゆっくりしていってね!」 「まりさ!ゆっくりしていってね!…それと、れいむですっきりしていってね!」 発言がストレートすぎる。 「ゆゆゆぅ!?れいむはまりさとすっきりしたいの!?」 「そうだよ!もうれいむのまむまむ、えくすぷろーじょんしそうだよ!」 「じゃあまりさのぺにぺにでますたーすぱーくしようね!」 聞くに堪えないんですけど…。自分でやっておいてなんだけど、もう監視カメラの音声映像を止めたい 気分だ。研究お兄さんはしかめっ面をしていた。 彼の気持ちなど当然のごとく無視し、2匹はあっという間にすっきりをし始めた。 「ゆっ、ゆっ…!れいむのまむまむ、きゅんきゅんしめつけてくるね!」 「いいよぉ…!まりさのぺにぺにがれーばてぃんさんだよぉ!」 「そろそろ…、いくよ!」 「れいむも…!」 「「すすすすすっきりー!!」」 さあ、ちゃんとひにんっ!はできているのか?ぐぐいっ、とお兄さんがモニターに近づく。 さすがにカメラはれいむのおなかを映せないため確認できない。ただ、画面の端を確認すると 頭から茎は生えていないようだ。画面下のれいむの肌はツヤツヤもちもち、さらにしっとり しているように見えた。 「ゆゆん…、れいむのまむまむはさいこうだよぉ。まりさついがんばっちゃった!」 「ゆーん、れいむもだいすきなまりさとすっきりできてしあわせー!だよ。ふたりであかちゃん そだてようね。」 「ゆっ!そうだよ。あかちゃんはげんきなの?」 そういってれいむを見る。しかしそのおなかは大きくなっていない。頭にも何も生えていない。 「れ、れいむ…?ぽんぽん、おおきくなってないよ…?あたまにもくきさんがはえてこないよ…?」 「ゆふー、ゆふー…。なにいってるのまりさ?れいむはまりさのあかちゃんをにんっしんっ…、 ゆゆゆゆ!?!?」 体に何も変化がない。まりさが落胆したのも当然だ。野生種にとって、赤ゆっくりは最上のゆっくり できる贈り物。好きな相手が赤ゆっくりを産めないとなれば、 「ゆっ!!れいむはにんっしんっ!できないだめゆっくりなんだね!もうれいむなんていらないよ!」 こうである。まりさはれいむを見限り、あっという間に群れへ帰っていった。 「ゆーっ!まってまりさ!れいむは、れいむはにんっしんっ!できるよ!」 れいむの声がこだました。 大好きだったまりさに捨てられ、落ち込んだれいむ。仕方なく群れに帰っていった。 そう、今まさに地獄と化そうとしている群れに。 「ゆー…、ゆっくりただいまだよ…。」 そう挨拶をしながら群れの広場に入る。そこには…。 「わ゛がら゛な゛い゛よ゛ー!」 「ごん゛な゛の゛どがい゛ばじゃな゛い゛わ゛!」 逃げ惑う群れの仲間達。それを追いかけるのは 「まちなさい!ありすがさいこうのあいをあげるわ!」 「こっちのありすはとかいはね!ありすのしこうのゆっくりをそそぎこんであげる!」 れいぱーありす達だった。群れはれいぱーに襲われていたのだ。 「ゆゆゆーっ!?」 れいむはあまりの出来事に驚き、すっきりの疲れもあって動けなくなってしまった。 そこにれいぱーが襲い掛かる! 「ゆ~ん!なんてとかいはなれいむなの!?」 「まあ、こんなにまむまむをくぱぁっとさせて!」 「ありすたちをさそってるのねぇぇええ!?」 どうやられいぱーの体液をたっぷりととりこんだまむまむは、ゆっくりを誘う力があるらしい。 てらてらと光り、ぬめぬめとうねるその部分は、火が害虫を誘うがごとくゆっくりをいやらしい気分に させて引き寄せる。 (い、いやだよ…、れいむはれいぱーなんてだいきらいだよ…。) そう思うものの、れいむの餡子の奥がなぜかうずく。 (ど、どうしたの…?れいむ、れいぱーのことなんてだいきらいなのに…、きもちわるいはずなのに…。 どうしてこんなに惹かれてるの!?) なお、この思いが口にもれるとこうなる。 「ゆー、れいぱーはすごくゆっくりとすっきりできそうだよ!さっきのまりさみたいなそーろーじゃ たのしめないよ。れいむはれいぱーとすっきりしたいよ!」 すごくストレートな発言に変換されていた。 もちろんありす達はその言葉に興奮も頂点だ。 「むほおお!なんてとかいはなの!いいわ、ありすがごくじょうのすっきりをあげる!」 「ありすにあいされてれいむはしあわせものよぉぉおおお!」 「いっぱいあいをそそぎこんであげるわぁぁぁ!」 一気にれいむに襲い掛かる。 「いいよっ!れいむですっきりして!れいむはいっぱいありすとすっきりしたいよ!」 この異常な状況で気がふれてしまったのか、それとも餡子の奥底から沸き起こる情欲に身をまかせて しまったのか。 れいむは素直にれいぱーを受け入れた。 「みんなっ!あそこでいやらしくゆっくりしているれいむがいるわ!」 「なんてとかいはなの!あんなにゆっぽりとぬれているまむまむははじめてだわ!」 群れの仲間を追い回していたほかのれいぱー達も、れいむに引き寄せられていく。 れいむを中心に、すべてのれいぱーが集まった。交代でれいむのまむまむをギンギンのぺにぺに で貫き、それをまっているありす達はれいむの頬といわず全身をすりすりで攻め上げていた。 「むほおお!すぐにありすのあかちゃんをはらませてあげるわあああ!」 「さあ、いっぱいありすのあかちゃんをうんでねぇぇぇ!」 ちなみに研究お兄さんはこの映像をみてあまりのおぞましさに吐き気を催しトイレに駆け込んでいた。 れいむ vs れいぱーありす軍団。恐ろしくもおぞましい勝負の結果は。 れいむの圧勝であった。 「ゆっ…、も、もうすっきりー!できないわ…。」 「ぜつりんすぎる…。こんなのとかいはじゃないわ…。」 「これいじょうはありすのあいがぶろーくんよ…。」 「なんでこれだけあいしてあげたのにあかちゃんができないの…。」 れいぱーありす達はすべてのすっきり能力を使い果たし、ヨボヨボになっていた。 れいむはというと。 「まだまだたりないよ!ありすたちはそーろーだね!」 とても元気であった。これにはモニター前の研究お兄さんも唖然としている。 (注射した体液がおかしな作用をしているのか?それともれいむの母性(笑)との相互作用の 結果だろうか…。なんにせよ、面白いデータが取れたな。) 元気どころかれいむはさらにお肌ツヤツヤ、しっとりもちもちとなり、健康そのものであった。 (どうやらありす達に注ぎ込まれた愛、じゃなくて精子餡が栄養分になってるようだな。 れいむはひにんっ!済みの個体。赤ゆっくり用に高栄養の精子餡が、赤ゆっくりができない ために母体の栄養になってしまっているのか。) 研究お兄さんからは見えないが、れいむのまむまむはさらに妖しく光っていた。小さな穴ではあるが、 ゆっくりが見れば一目でわかる。恐るべき誘引力をもったまむまむとなってしまった。 れいぱーありす達がれいむによって追い払われると、群れの全員がれいむを取り囲んだ。 「すごいわれいむ!あのれいぱーたちにかっちゃうなんて、すごくとかいはよ!」 「わかるよー!れいむはきゅうせいしゅなんだねー!」 「むきゅっ!ありがとう、れいむ!おかげでむれはすくわれたわ!あなたはむれのえいゆうよ!」 そんな感謝の言葉も、今のれいむには届かなかった。 (ゆぅ…。もっといっぱいすっきりしたいよ…。…れいむ、どうなっちゃったの?まえはこんな いんらんなことかんがえなかったのに…。) そんなことを考えていた。しかし口から漏れたつぶやきは、 「あのありすはそーろーだったよ…。あしたからつぎのえものをさがさなきゃ…。」 なんとも素直な言葉だった。 次の日。群れに2度目の災厄が襲い掛かる。 (…ど、どうしよう…。れいむ、すごくへんだよ…。あさからまむまむがじゅんじゅんするよ…。 こんなところ、ほかのゆっくりにみられたら…) 心の中では一応、以前のれいむとして考えている。 「おはようだぜ、れいむ!きのうはすごいかつやく…。」 だがゆっくりを前にすると、口が勝手にしゃべりだす。 「いいからさっさとぺにぺにだしてね!れいむのまむまむはじゅんびばんたんだよ!」 「なにをいって…、ゆ、ゆぎゃぁぁぁ!?」 「おはようれいむ!すごくとかいはなあさね!きのうはほんとうに…。」 「なにむだなあいさつしてるの?ばかなの?しぬの?」 「え、れいむあなたなにを…。い、いやぁぁぁ!?とかいはー!?」 「おはようなんだよ、れいむ!むれのえいゆうはとってもはやおきなんだねー、わかるよー。」 「ばかなまんじゅうどもをせいてきないみでくいたいだけだよ。」 「!?!?わ、わがらないよー!?ら、らんじゃまぁぁぁー!!」 出会うゆっくりは皆、れいむの餌食となっていった。恐るべきはそのまむまむ。妖しく光を反射 するソコは見るゆっくりすべてをギンギンのぺにぺににさせる最終兵器。 「むきゅー…。れいむ、わるいけどむれからでていってほしいの…。」 「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉ!?」 どうしても何も、群れのゆっくりのほとんどを『喰って』しまっているのだ。 番がいるゆっくりには強度の不和を、独り身のゆっくりには『すっきりへの恐怖』を。 れいぱーが襲ってきた以上に恐怖を撒き散らしているれいむを、群れの長であるぱちゅりーは 寛大にも追放処分で済ませようというのだ。 結局、群れのゆっくり達の怒号もあり、れいむは追放されてしまった。 普通のゆっくりであれば群れから距離を置き、森の中で自活すれば済む事も、今のれいむには完璧に 無理であった。なにせあのれいぱー群を一人で受けきったのだ。もうすっきりー無しの生活など 考えられない。むしろすっきりーこそが生活なのだ。 森の中にはいられない。れいむは森を出て街を目指した。 「…ゆゆっ!?な、なんていやらしいゆっくりなんだぜ!」 街のはずれ。そこで出会った野良ゆっくりまりさはれいむを一目見てとりこになってしまった。 しかしそこは街ゆっくりとしてのプライドがある。つい罵るような口調になってしまう。 (ゆー、このまりさはきたないよ…。) 「ゆ!まりささまをみてほれそうになってるのぜ?いいのぜ、ほれて!」 (あめさんがふったあとにおそとへでても、このまりさほどきたなくならないよ…。) 心の中で反発しても、 「まりさはそーろーまりさなの?そうじゃないなら、れいむのここでしょうめいしてね!」 もみ上げで自分のまむまむを指し示す。心と体の乖離は進む一方だ。 「ゆゆゆぅ!?まりささまをばかにするんじゃないんだぜ!てんごくにうちあげてやるんだぜ!」 そういってれいむに襲い掛かる。 「ゆっゆっゆっ!どうなんだぜぇ!?すぐにすっきりー!させてやるんだぜぇぇ!」 「どうしたの!?もっとはげしくできないの!それじゃほかのまりさとおなじだよ!」 ちなみに心の中ではこう思っている。 (こんなげすなまりさにおかされるなんて…!?でもくやしいっ…かんじちゃう…、ゆっ!ゆっ!) 悲劇のヒロインに酔っていた。ある意味では心と体は乖離していないのかもしれない。 そんなれいむの葛藤(?)も知らず、まりさはれいむに襲い掛かる。 れいむはれいむでもみ上げを器用に使い、まむまむをくぱぁっとさせていた。 「ゆっ!ゆっ!ど、どうなんだぜぇ!まりささまのびっぐぺにぺにですぐにすっきりー!させて やるんだぜぇ!」 「ゆっ、ゆぁん!な、なかなかだね!でもまだだよ!」 ちなみに研究お兄さんはもうすっきりー!の様子は見ないようにしている。対れいぱー無双の際、 あまりの気色悪さに吐いてしまったためだ。 「ゆっ!そろそろとどめなんだぜ…!ゆゆゆぅぅ…、すっきりー!」 「すっきりー!」 「…ゆはぁ、ゆはぁ…。ど、どうなんだぜぇぇ…。まりささまにほれたんだぜ!?」 「…ゆー!こんなんじゃたりないよ!」 れいむはまだまだ元気だった。自分にのしかかったままのまりさをお腹でぶるぶると震わせ、ぺにぺに をもう一度復活させる。 「な、なにするんだぜ!?」 「こうするんだよっ!」 れいむのモチモチお腹がボヨンとまりさを打ち上げる。 「ゆー!おそらをとんでるみたいなんだぜー!」 そして落ちてきたまりさをまむまむで受け止める! 「ゆっ!これくらいじゃないとれいむはまんぞくできないよっ!もういちどっ!」 「ゆー、おそらを…」×10回 「これでとどめだよっ!ゆっ!!」 「「すっきりー!!」」 れいむの対れいぱー奥義『すっきりすぱーく』が炸裂した。本来はれいぱーありすをうまく誘導し、 すっきりさせる際に地面に打ちつけるものだが、れいむはこれを純粋にすっきりのために使っている。 「ゆゆーっ!?」 まりさが大量に精子餡をれいむに放出した。改造版すっきりすぱーくの効用がこれだ。 まりさが急激にしおれていく。それに比例してれいむはツヤツヤのモチモチ、性欲全快の顔つきだ。 「ゆっ!なかなかだったよまりさ!」 「…ぜはぁ、ぜはぁ…。も、もうすっきりーなんてごめんなのぜ…。」 しおしおになってしまったまりさにお義理の礼を言うと、れいむはこれからのすっきりー!性活に 胸を躍らせながら街の中へと跳ねて行った。 その後れいむは街のゆっくりを一匹残らず『喰って』いった。研究お兄さんもさすがにこれ以上は 無意味と考え、モニターを切ってしまう。 「ふぅ、結局あまり有用なデータは取れなかったな…。れいぱーがある種の個体数調整にかかわって いることは確かだが、逆れいぱーには何の意味もなかったか…。ま、自然界に逆れいぱーが いないのが何よりの証拠かもな…。」 しかしお兄さんの考えは間違っていた。短いスパンで見ればただキモチワルイだけだが、長期で見た 場合に逆れいぱーは異なった影響をゆっくりの集団に与えたのだ。 「ねえまりさ!そろそろとかいはなあかちゃん…、つくらない?」 森の群れで番になった若妻ありすが言う。しかしその言葉にまりさは。 「…ゆ、ゆわぁぁぁ!?!?ずっぎりはごわいよぉぉぉ!!」 逆れいぱーれいむに喰われたときのことがトラウマとなり、まりさは『すっきり恐怖症』になっていた のである。 街も同様にすっきりを異常に怖がるゆっくりであふれかえってしまった。 こうして1匹のゆっくりにより、森の群れと街の野良ゆっくり達は赤ゆを作れなくなり、その個体数 を減らしていった。 図らずも研究お兄さんは手間のかからないゆっくりの根絶方法を作り出したわけだ。 街の野良ゆっくりがれいむを恐れて逃げ出すようになって数週間。れいむは『すっきり禁断症状』に 悩まされていた。 そしてれいむは禁断の方法に手を染める…。 「ゆゆうううううう!!ぞごの美お兄さんんんんん!! でいぶでずっぎりじでぐだざいいいいいいいい!!」 れいむはもみ上げをしきりにまむまむへと突っ込む。ジュボジュボと妖しい汁を噴出させて 誘うれいむ。 「いやらしい雌饅頭のまむまむをお兄さんのぺにぺにでめちゃくちゃに虐待してくださいいいいい!! でいぶを、でいぶをはやくおぞらにどばじでぇぇぇ!!!」 そう、れいむは人間を誘っているのだ。それも浮浪者達を。 「おうおう、このオナホは元気がいいなぁ!」 「ああ、なかなかのモノだったぞ!」 「おいおい、ゲテモノ喰いにもほどってもんがあるだろ!」 「いやいやいや!試してみろって!なかなか従順だし、なにより感触は最高だぜ! しかもあったけーしな!」 「…、確かに最初は気色悪かったが、よくよく見りゃなかなかのモノっぽいな…。」 「なっ!試してみろって!」 「はやく!はやく雌饅頭をめちゃくちゃにしてくだざいいいいい!!! もうでいぶはどうなっでもいいでずがらぁぁぁ!! ここを、ここをぶちこわしてほしいんでずううう!!」 浮浪者たちに囲まれ、れいむはどこまでも幸せだった。 …どうしたんだろう俺。こんなもの書いて、なんか変なものでも溜まっているんだろうか…? 批判は甘んじて受けます。 次回からは短編、直接虐待と言葉攻めの2本を考えております。 できたらその次に希少種しあわせー!物を書いてみたい。 過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 111 効率化の道 ふたば系ゆっくりいじめ 147 陰口 ふたば系ゆっくりいじめ 177 人間の畑だと説得してみよう ふたば系ゆっくりいじめ 182 どすすぱーくをうつよ! ふたば系ゆっくりいじめ 216 子まりさの反乱 ふたば系ゆっくりいじめ 248 ゆっくりできない理由 ふたば系ゆっくりいじめ 387 れいむはよげんしゃ ふたば系ゆっくりいじめ 464 ゆ身売買
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カテゴリ:ゆっくり系 ああ れいむばか合体したしろもの。 こうもんあ http //livedoor.blogimg.jp/yukkuri_anko/imgs/a/2/a23bec37.jpg 進化だ http //livedoor.blogimg.jp/yukkuri_anko/imgs/4/d/4db40637.jpg